本研究の目的は、相互協力関係の形成方略の違いから、対人認知の正確さに関する体系的検討を行うことである。この目的のため、まず本研究では、他者が機会主義的にふるまう危険性がある状況で協力関係を形成する際の方略を、1)罰を用いる集団的解決、2)他者の信頼性を見きわめて協力的な他者を選別する個人的解決である。これらに対応する対人認知の正確さとして、i)他者との関係性を推測する課題と、ii)他者の内的属性を推測する課題を開発した。その結果、予測と一貫して、集団的解決を用いる傾向はiの正確さと関連が見られたが、iiとは関連が見られなかった。
|