研究課題
初年度においては経済ゲーム上における個人差の起源を探ることを目的とし、双生児研究協力サフォ対象とした独裁者ゲームと最後通牒ゲームを実施し、小さいながらも遺伝の影響が見られることを示した。また大学生サンプルを対象に独裁者ゲームと最後通牒ゲームの間でゲームを選択可能である場合にいずれが好まれるか検討したところ、場面想定法においては最後通牒ゲームを選択する者がいる一方で、実際に金銭的報酬の含まれるゲームでは合理的な選択(独裁者ゲーム)の選択が重視されることを示した。これらと平行して利他行動傾向の個人差を測定する尺度の開発に携わった。第二年度は初年度において開発された「対象別利他行動傾向尺度」(SRAS-DR)について、この尺度とパーソナリティとの相関を一般サンプルにおいて検討した。また、社会的インパクトの大きな問題(福島第一原発事故)への態度に、SRAS-DR得点がどのように関連しているかを同時に検討した。最終年度においては、前年度までの研究成果として得られた(SRAS-DR)を用いて、向社会性における個人差の構造について調査研究を行った。これまで、血縁個体への利他性を説明する血縁淘汰理論、非血縁個体への利他性を説明する(広義の)互恵的利他主義理論が、向社会性の起源としては中心的に扱われてきた。加えて近年、向社会性が社会的・配偶パートナーを獲得するための方略として持ちられる競争的利他主義の視点が注目を浴びている。最終年度ではSRAS-DRと競争的利他主義傾向との関連について場面想定法を用いたWeb調査を実施した。
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心理学研究
巻: 84 ページ: 28-36
Personality and Individual Differences
巻: 56 ページ: 206-209
10.1016/j.paid.2013.09.017
http://www.futago-labo.net/