研究課題
本研究では若者の対人関係についての認知と感情ならびに対人関係から生じる不幸せ感への対処方法を検討し、心の健康と文化的適応に関連する諸分野への貢献を目指した。さらに、日本文化の中で中心的に見られる現象だけではなく、一般的傾向とは異なる行動様式や価値基準を持つ若者たちを対象に調査を行うことで、日本文化のグローバリゼーションや経済的な停滞による若者の心の変化を検証した。平成25年度には、1)グローバリゼーションが進む日本において、個人の達成を求めるような個人主義傾向をもつ人たちが感じる対人関係や幸福感についての、若者並びに一般成人への調査研究をまとめ、2)日本で顕在化してきた「社会階層」がニート・ひきこもり傾向に与える要因を、若者ならびに一般成人への大規模データを用いて検証し、3)日本文化において育まれる適応感がどのようなものであるかについての理論を包括的に構築し、4)今後のあらたな展開として、多層な文化的価値観の間で生じる葛藤(たとえば日本文化の関係志向性中で、個人主義的な価値観をもつ企業や組織で働く人たちに経験される文化的価値観にまつわる様々なメッセージ間で生じる相克)について検討することにつなげる枠組みを構築した。研究期間全体を通して、現代日本における不適応状態の実態の把握と日本社会を巨視的に見た際の文化的背景と心の問題との関連について検討を行った。そして、良好な対人的コミュニケーションを支える認知・感情の仕組みについて検討し、文化・社会の中での適応に向けた中・長期的介入アプローチの開発を試み、教育現場や社会集団へのフィードバックを試み、企業やNPOと連携した事業を実施した。
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