本研究では若者の対人関係についての認知と感情ならびに対人関係から生じる不幸せ感への対処方法を検討し、心の健康と文化的適応に関連する諸分野への貢献を目指した。日本文化の中で中心的に見られる現象だけではなく、一般的傾向とは異なる行動様式や価値基準を持つ若者たちを対象に調査を行うことで、日本文化のグローバリゼーションや経済的な停滞による若者の心の変化を検証した。今後の展開として、多層な文化的価値観の間で生じる葛藤について検討することにつなげる枠組みを構築した。研究期間全体を通して、現代日本における不適応状態の実態の把握と日本社会を巨視的に見た際の文化的背景と心の問題との関連について検討を行った。
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