昨年度の成果として,自己とロボットの社会的比較過程において,ロボットの人間らしさが影響することが明らかとなった.本年度は,ロボットに対する人間らしさの認知的メカニズムとの関連から詳細な検討を行った. 従来,人間らしさは,Human UniquenessとHuman Natureの2次元から構成されることが指摘されていたが,日本においては,ロボットに対して人間らしさを認知する際に,それらの2次元のみの区別だけではなく,各次元をポジティブ・ネガティブの側面からも区別しており,合計で4次元の認知次元があることが明らかになった. これは,ドイツやオーストラリア,アメリカといった欧米諸国の結果とは異なる,日本独自の認知的特徴であることが明らかとなった.ロボットのような新規な存在に対しては,人間らしさの主要な要素を区別しながら認知するだけでなく,それぞれの要素が社会にとって有益かどうかまでも判断することが日本のような集団主義的な文化的傾向として存在することが示唆されたといえる.また,このような4次元の人間らしさは,社会的比較を行う際,どのような側面について評価し比較するのかによって,異なった関連をすることが示された.
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