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2012 年度 実施状況報告書

社会的スキルの観点による在日中国人留学生の日本文化適応に関する社会心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730580
研究機関神戸学院大学

研究代表者

毛 新華  神戸学院大学, 人文学部, 講師 (90506958)

キーワード社会的スキル / 文化適応 / 中国人留学生 / 日本文化
研究概要

平成24年度には,研究計画書および平成23年度の実施報告書にあった「12.今後の研究の推進方策」で言及した内容に基づけば,①中国人留学生の日本社会における「日本人との対人関係の形成」に関する階層ごとの適応上の問題およびプロセスを総合的に明らかにする。②中国人留学生の各適応段階において,中国文化と対照的に捉える日本文化における対人関係に必要とする社会的スキルの種類とレベルを確認するために,質問紙調査および実験室実験を行う,という2つの研究を推進すると計画した。
しかし,2012年9月ごろより,日本と中国の政治情勢の変化が激しくなり,本研究の研究対象者(在日中国人留学生)および研究テーマ(日本文化の適応)の性質上,この時期に計画を実行しても,得られたデータにバイアスがかかる可能性があることが予想される。
このような政治的・社会的状況を鑑みて,平成24年度に,データ収集をせず,学会発表および学会参加を中心に研究活動を展開した。学会発表については,これまでに蓄積したデータを活用し,日本心理学会のポスター発表を行った。来聴者との議論を通じて,これまでの研究の問題点を知り,今後における研究を展開する方向性などの有益なヒントを得た。学会の参加については,日本グループ・ダイナミックス学会にて,異文化や社会的スキルに関連する発表を聴講した。この領域の最新動向の把握につなげた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2012年9月ごろより,日本と中国の政治関係は,1972年の日中国交正常化以来,未曾有の危機状態に陥った。このような政治情勢により,日中両国の国民同士の交流や相手の国(国民)に対する考え方など,負の影響を与える可能性が十分に考えられる。
本研究の研究対象者(在日中国人留学生)および研究テーマ(日本文化の適応)の性質上,2012年度においては,計画を実行しても,得られたデータにバイアスがかかる可能性があることが予想される。よって,研究の進行が遅れている状態となっている。

今後の研究の推進方策

本書類の「現在までの達成度」に示したように,2012年度の日中間の政治情勢により,本研究の実行が遅れている。2013年度より,日中間の政治情勢を見つつ,これまでに遅れている分を取り戻すように研究を推進する。とりわけ,以下の2点の計画を完遂するように推進する。
①中国人留学生の日本社会における「日本人との対人関係の形成」に関する階層ごとの適応上の問題およびプロセスを総合的に明らかにする。
②中国人留学生の各適応段階において,中国文化と対照的に捉える日本文化における対人関係に必要とする社会的スキルの種類とレベルを確認するために,質問紙調査および実験室実験を行う。
また,研究成果を発表するために,国内外の学会で発表する予定をしている。
さらに,2012年度にほとんどデータ収集ができなかったこと,かつ最終的に研究が計画書通りに完遂するために,もともと2013年度の最終年度とする3年間の計画を,4年間に延長して,申請を行う計画もしている。

次年度の研究費の使用計画

上記の①と②の実行には,データの安定性の視点から,それぞれ中国人留学生200人と80人という相対的に大きいサンプルが必要となる。これらのサンプルを確実に確保するために,申請者がこれまでの研究で依頼したことのある複数の留学生を受け入れる教育機関を活用する。なお,調査・実験における脱退者の発生によるデータ不足の事態を防ぐために,サンプル数は多く確保する予定である。
そして,①で言及した「留学生と密に関わる日本人」は,申請者のこれまで関わった留学生を世話するボランティア団体から募集する。
上記の調査を実施できるために,調査を受け入れる機関と調整してくれるコーディネーターに謝礼を支払う予定をしている。調査を実行した際,対象者の拘束時間が発生すると考えられるので,拘束時間に対する謝礼を支払う予定をしている。また,得られた中国人留学生の中国語による自由記述の翻訳作業の迅速化をはかるために,翻訳業者に外注する。さらに,自由記述のテキストを分析するために,分析ソフトの購入を予定している。②のサクラは申請者の所属学部の文化および社会的スキルを研究テーマとする院生・学部生によって構成され,第三者の評価者は申請者の担当する授業から学生を募集する。会話実験は申請者の所属学部の心理学実験室を用いることにより,実験の精度の向上を期待することができる。②の会話実験の協力者・参加者を対象に,謝礼を支払う予定をしている。
上記の①と②のデータの迅速な分析のために,データ入力や基礎的集計作業を2名の研究補助者に依頼する予定をしている。
なお,研究成果を発表するために,学会参加費と国内外の旅費が必要となる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 中国文化の要素を考慮した社会的スキル・トレーニングのプログラムの開発および効果の検討2012

    • 著者名/発表者名
      毛新華・大坊郁夫
    • 雑誌名

      パーソナリティ研究

      巻: 21 ページ: 23-39

    • DOI

      10.2132/personality.21.23

    • 査読あり
  • [学会発表] 在日中国人学生の異文化適応スキル訓練の持続効果2012

    • 著者名/発表者名
      毛新華
    • 学会等名
      日本社会心理学会第53回大会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      20121118-20121118
  • [学会発表] 初対面のコミュニケーションに関する日本・中国間比較研究2012

    • 著者名/発表者名
      木村昌紀・毛新華
    • 学会等名
      日本社会心理学会第53回大会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      20121118-20121118
  • [学会発表] 日本人大学生に実施した中国文化要素が配慮され たSSTプログラムの持続効果2012

    • 著者名/発表者名
      毛新華・木村昌紀
    • 学会等名
      日本心理学会第76回大会
    • 発表場所
      専修大学
    • 年月日
      20120912-20120912
  • [学会発表] 初対面会話の自己呈示に関する日本・中国間比較2012

    • 著者名/発表者名
      木村昌紀・毛新華
    • 学会等名
      日本心理学会第76回大会
    • 発表場所
      専修大学
    • 年月日
      20120912-20120912
  • [図書] 「V部パーソナリティと社会・文化 20章第4節 社会的スキルの個人差・文化差」 パーソナリティ心理学ハンドブック2013

    • 著者名/発表者名
      毛新華 など108名
    • 総ページ数
      総770頁中,635-641頁(計7頁)を担当
    • 出版者
      福村出版

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公開日: 2014-07-24  

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