研究課題
文化心理学において、意味体系や信念、価値は、当該の文化におけるさまざまな慣習の実践や文化的産物への接触を通じ、認知、思考、感情、動機づけなどのさまざまな心の性質へと反映されると考えられている。しかしそれらがどのように維持、継承されているのかについての理論的考察は進んでいない。本研究の目的は、この未解明な部分を補うべく、1)文化的な価値観の維持に個人がどのように関わっているか、2)当該の文化的な価値の維持に関連する個人の選好は発達の段階でどう形成されるのか、3)さらにはそのような選好に対する脳内基盤は存在するのかを探索していくことにある。1)と2)に関しては、これまで各文化の成員による産物(具体的には塗り絵)がその文化で優勢な価値に対応しており、その傾向は大人のみならず、4-6歳の未就学児でも見られること、さらには人々は自文化の価値に対応した塗り絵を好むこと、またその傾向に文化化の影響が見られることを明らかにしてきた。本年度はこの成果を論文にし、Personality and Social Psychology Bulletin誌に採択され、掲載された。また本年度は3)に関して、探索的に日本人参加者を対象に日米の塗り絵を見て、好みを判断する際の脳波を計測したところ、自文化の文化的産物に対してP300が顕著であることを見出した。このP300は、その刺激に対する処理がより動機づけられていたときに表れやすいことから、日本人参加者が日本の塗り絵に対してかなり自動的な注意を向けていたことを示唆する。
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