研究課題/領域番号 |
23730593
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山浦 一保 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (80405141)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 上司-部下 / 関係性の質 / 資源交換 / 関係の崩壊 / 修復方法 / LMX理論 / リーダーシップ |
研究概要 |
本年度は、多種多様な組織(看護組織、地方自治体、一般企業)を対象として、(1)職場の上司-部下関係の構築および、崩壊とその修復に関するエピソード、および (2)そのエピソードに含まれる有効な対処法や工夫に関するデータを収集した。 まず、看護師と地方公務員を対象に、2011年7月に第1回目の予備調査を行った。看護師を対象にした研修の中で、(2)についてのみ記載を求めた。48名が回答し(提出は任意)、記載があったのは13名(対処法に関する記述31個)であった。その内容は、「自分の認知転換(内省、他者の視点獲得、相手を承認等:4名)」「直接話合い(本音で、話合いの場の設定、食事に誘って話す、失敗談を話す等:13名)」「目標提示(2名)」「仕事あてがう・配置転換(4名)」「第3者介入(6名)」に分類できた。解決すべき問題であるとしながらも、有効な方法が見出せていないとのコメントが寄せられ、本研究を進める意義があると言える。 次に、関係性構築・修復の方法をより広く収集できるように、質問紙調査票の構成を改良した。地方公務員(2か所)を対象に、研修の終了時に調査を実施した(9月、11月)。その結果、24名中17名(70.8%)がすべてに回答し、回答率を挙げることができた。上述の対処法の他に、「放置する」「一定時間を置く」の意見も散見された(11名中4名)。また、関係性が良好ゆえに、上司との付き合いの時間が増加することによる問題、あるいは関係性が疎遠(だった)ゆえに、対人関係の対処スキルが習得されたり、チームの結束力が強化されるというメリットのあることがうかがえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度に多様な組織への展開を予定していたが、サンプルは少ないが収集を行うことができた。また、良好な関係性によるデメリット、疎遠な関係性によるメリットがうかがえる等、興味深いデータが得られた。体系的かつ定量的な結果を示すまでには至っていないが、おおむね順調に研究を遂行できていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、定性的な分析から、崩壊した人間関係の修復経験を通じて、対処スキルや効力感が向上することが示唆された。この可能性を視野に入れ、2011年12月、一般企業従業員を対象にweb調査を行った(N=300)。今後、ここで得られたデータについて、定性・定量分析を進める。 また、この調査で得られた結果を踏まえて、組織特性(男女構成比率の異なる組織:たとえば、女性比率の高い病院・看護師チーム、男性比率の高いインフラ産業など)を考慮し、そこでの人間関係の構築・崩壊の様態と修復法について、特徴を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度、アンケート調査実施に関わって、データ管理に必要なパソコン周辺機器、調査実施や分析・整理に必要な事務用品や印刷用プリンターのトナー等の購入費を「消耗品費」として計上する。 また、web調査や資料・データ整理にかかる費用については「謝金」として、郵送法による調査においては、返送用切手を「その他」で計上する。 前年度の成果報告を含めて、今年度新たに得られた知見を学会発表する予定であり、国内外の移動にかかる費用を「旅費」として計上する。
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