研究課題/領域番号 |
23730596
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研究機関 | 神戸山手大学 |
研究代表者 |
村上 幸史 神戸山手大学, 現代社会学部, 准教授 (00454778)
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キーワード | しろうと理論 / 幸福観 / 主観的幸福感 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に行った「成功するための資源には限りがある」という資源の限定説に関する質問紙調査の分析と、他者に生じたネガティブな出来事が主観的幸福感の変動に結びつくのかどうかを実験的に検討を行った。 質問紙調査からは、資源の限定説のうち、身の回りや世界での「対人的定量感」の項目は、幸福などの「感情」カテゴリー、運などの「勢い」カテゴリー、縁・出会いなどの「成功資源」カテゴリーに分類がなされた。このうち「感情」カテゴリーは主観的幸福感の低下や幸福を実感する程度と関連が特に強いことが分かった。また、全てのカテゴリーが「他者との相対的不幸」得点と関連していた。これは他者との競争意識を介して、主観的な幸福感の低下とも関連していると推測される。 これらのカテゴリーをしろうと信念として持つかどうかと、他者に生じたネガティブな出来事に関する印象の関連性について、実際に生じた事件を元にしたニュース記事を読むことで、主観的幸福感への影響を検討した。その結果、ネガティブな出来事のうち、加害者の自業自得で生じたと想像されやすい要素が含まれている事件に関しては、カテゴリーと非難割合が高い傾向がいくつか見られたが、逆に非難傾向が低い事件も見られ、結果的には幸福感が高まるまでの変動には結びついていなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
幸運に関する資源の限定観(個人内・対人間)が、主観的幸福感に与える影響に関して、不確実状況での「争奪実験」を通して検討する予定であったが、参加者の確保の点で不十分であったため、2013年度に延期を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は幸運に関する資源の限定観(個人内・対人間)が、主観的幸福感に与える影響に関して、不確実状況での「争奪実験」を通して検討する予定である。 この実験は、当初の計画通り、2者間で互いに不確実な選択を行い、成功(勝利)した者が利益を得ることができる、又は罰を免除されるという、利益が限定的な構造を持つ状況下での主観的幸福感の変動を見ようとするものである。このような状況への好みと、実際に選択を行った場合に、相手の結果に応じて主観的幸福感に関する変動が見られるのかどうかを検討する。 また、資源の限定観に関してこれまで行った調査及び実験を合わせて、主観的幸福感に関するモデルを作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は実験を行う予定であり、主としてその参加者への謝礼や実験器具の購入に該当する予定である。また研究成果を、本年度開催される日本心理学会大会にて発表予定のため、その参加費や旅費に用いる。加えてモデル作成にあたり、理論的考察に必要な資料等の入手に使用する。
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