本年度は「対人的定量感」と主観的幸福感の関連性を調べるために2つの実験を行った。一つは昨年度に行った、他者に生じたネガティブな出来事に対して持つ印象について、同じ記事を用いてweb上での調査を行った。その結果、昨年行った紙提示の条件よりも、他者を直接非難する傾向は小さいが、他者が非難するだろうと推測する傾向は高く、また「対人的定量感」を持つ者は、もともと主観的幸福感が低い場合に、他者の不幸を喜ぶ(シャーデンフロイデ)傾向が見られた。 もう一つは不確実な選択において、自分の利害がペアである他者によって決まるような争奪状況と、自分と他者の利害は関連しないような非争奪状況において、「対人的定量感」の有無により、主観的幸福感は変動するのかを実験的に検討した。その結果、不確実な結果(クジの的中)の効果が大きく、状況の効果や「対人的定量感」の有無による効果は明確には示されなかった。
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