本研究は「個人が成功や幸福を得るための資源には限りがある」という考え方の中でも、特に特定の社会での限定説(「対人的定量観」)と主観的幸福感の関連性について検討を行った。その結果「対人的定量観」を持つ者は主観的幸福感が低く、競争的達成動機も高く、不幸の程度を相対的に判断しやすいことが示唆された。この影響はweb上でニュースを判断する実験を通して、他者の不幸を非難する傾向や喜ぶ(シャーデンフロイデ得点)傾向の形でも示された。このような観点から主観的幸福感を維持する過程は、幸福感を高めることに関する負の影響と考えられる。
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