研究課題/領域番号 |
23730603
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
江口 めぐみ 筑波大学, 人間系, 特任助教 (40550570)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 主張性 / 他者配慮 / 児童 / 社会的情報処理 |
研究概要 |
主張性は適応的な能力,特性とされており,これまでの主張性研究では,心理社会的適応との関連について検討がなされてきた。本研究は,児童の主張性がなぜ適応に役立つのかについて,認知処理過程,主張内容,主張相手の要因を取り上げて詳細な検討を行うことを目的とした。主張性については,自己表明と他者配慮の2側面から検討を行った。また認知処理過程の検討には,社会的情報処理モデル(Crick & Dodge, 1994; Dodge, 1986)を利用した。平成23年度に行った研究は以下のとおりである。対象は小学4-6年児童,調査は個別記入式の質問紙により実施した。1.主張行動の記述収集および主張性との関連の検討:以降の研究で使用する主張行動の選択肢を作成すること,主張場面を選定することを目的に研究を実施した。主張場面(肯定的/葛藤)を提示し,各場面での主張行動(セリフ)を自由記述によって収集し,内容の分類を行った。分類された主張行動と主張性との関連を検討した結果,肯定的主張場面では,主張性の高さと主張行動に有意な差は見られず,葛藤場面では,主張性が低い児童は攻撃的・非主張的主張行動を,主張性が高い児童は,適応的な主張行動をより多く選択することが示された。2.認知処理過程と主張性との関連の検討:先行研究および研究1をもとに社会的認知質問紙を作成し,主張性との関連を検討した。検討する社会的情報処理ステップは,(1)目標設定,(2)反応選択,(3)反応実行である。結果は現在分析中である。3.主張行動内容と主張相手への反応・評価との関連の検討:認知処理過程を経て算出された各主張行動が,相手からどのように反応・評価されるかについて検討した。結果は現在分析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的である「主張場面における社会的情報処理モデルに注目し,主張性と主張場面での認知過程,主張行動,主張相手の反応・評価について検討を行う」については、当初の計画通り研究が進んでおり,データも十分に回収できている。また日本の代表的な主張性の研究者である濱口佳和教授より,十分な研究助言・指導を受けていることから,計画の進行について問題はないと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
既に大部分のデータは回収していることから、今後はデータの分析・まとめを行い、研究で得られた成果を積極的に論文・研究発表していく。また学内の倫理委員会の承認が得られた場合,教育関連機関職員の協力のもと,教育現場でも研究成果を発表していく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は主に、研究のまとめと成果報告に使用する予定である。具体的には、データの分析、論文執筆、発表に関する物品費、研究協力者への謝礼、国内外の学会、成果報告会のための旅費として使用予定である。なお本年度の研究費は、PCおよびPC関連機器を購入しなかったため、残額が生じた。この残額は、平成24年度にPCおよびPC関連機器を購入する経費に使用する予定である。
|