研究概要 |
主張性は適応的な能力,特性とされており,これまでの主張性研究では,心理社会的適応との関連について検討がなされてきた。本研究では、主張性がなぜ適応に役立つのかについて,認知処理過程,主張内容,主張相手の要因を取り上げて詳細な検討を行うことを目的とした。主張性については,自己表明と他者配慮の2側面から検討を行った。また認知処理過程の検討には,社会的情報処理 モデル(Crick & Dodge, 1994; Dodge, 1986)を利用した。平成24年度に行った研究は以下のとおりである。対象は小学4-6年児童, 調査は個別記入式の質問紙により実施した。 1.認知処理過程と主張性との関連の検討:作成した社会的認知質問紙と主張性との関連を検討した。検討する社会的情報処理ステップは,①目標設定,②反応選択,③反応実行であった。分析の結果、自己表明と他者配慮によって,それぞれ異なる情報処理ステップが選択され,応答行動に差が生じることが明らかとなった。 2.受け手の要因が,主張行動の評価・反応に及ぼす影響の検討:受け手側の主張性が,主張行動内容に対する評価(目標の解釈)・反応(応答的主張行動)へ及ぼす影響を検討した。分析の結果,女子の一部で受け手の主張性と主張行動内容との交互作用が見られたが,全体としては主張行動内容が,受け手の評価・反応へ影響を及ぼすことが示された。
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