研究課題/領域番号 |
23730609
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
島田 英昭 信州大学, 教育学部, 准教授 (20467195)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 動機づけ / マニュアル / テクニカルコミュニケーション / 短時間情報処理 / 挿絵 / タイトル / ドキュメント |
研究概要 |
どんなによい教材でも、利用されなければ意味がない。従来の教材研究が「教材のわかりやすさ」を対象としてきたことに対し、応募者は「教材を使ってみようと思うプロセス」、つまり、読解初期の動機づけの向上プロセスを明らかにすることを目指している。 本年度は、(1)視線計測環境の整備、(2)動機づけ効果の時間特性の実験的検討の2点を行った。 (1)視線計測環境の整備については、視線計測装置を導入し、試験的に視線計測をはじめている。現在のところ、視線計測とその分析手法までシミュレーションできているが、具体的データの取得は来年度から実施する。従来の実験材料の提示システムを使うために、プログラムの改良が必要となっており、来年度の課題として残されている。 (2)動機づけ効果の時間特性の実験的検討については、従来2秒の提示時間に固定されていた成果を、1.5秒と3秒の2条件を比較する実験を行った。それと同時に、従来の実験で繰り返し提示されていた実験材料を、1回の実験で1度のみにして、従来の実験結果の妥当性を検証した。その結果、動機づけ効果自体は新たな実験材料で確かめられたが、時間特性については要因操作の結果は得られなかった。この成果は、2012年に開催されるCogSci2012において発表予定である。 違いがみられなかった点については、時間条件を再検討し、動機づけ効果の違いが出る条件を探る必要がある。それと同時に、視線計測を実施して、時間特性の違いを明らかにすることを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
視線計測装置の測定環境については、従来のプログラムを走らせる点について課題が残っているが、測定環境はおおむね整えることができたので、初年度としては順調に進展している。 また、時間特性の評価については、結果的に期待した成果は得られなかったが、今後の実験に役立つデータが得られており、成果発表まで計画することができた。 以上から、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では、初年度に動機づけ効果の視線計測を実施する予定であったが、本年度は達成できなかった。したがって、この点を第1の課題とする。 また、従来検討してきた挿絵やタイトルのマニュアルだけではなく、広く一般的なドキュメントについて視線計測を行い、その読解初期を中心に分析を進める。それらのデータをもとに、読解プロセスのモデル化を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰り越しについては、次の理由で生じた。第1に、人件費を用いてデータ収集を行う予定であったが、年度内は視線計測の環境構築を主に行ったため、実際のデータ取得が2年目にまわったためである。第2に、当初計画よりも備品が安く購入できたためである。第3に、海外出張を次年度以降にしたためである。 成果発表と情報収集のため、旅費を利用する。成果発表としては、CogSci 2012; Annual meeting of the Cognitive Science Societyを予定している。 また、人件費を用いて、データ収集を行う。はじめに、従来行っていた2秒間の閲覧後に評価する課題を用いて、挿絵の位置を操作して、挿絵が先行オーガナイザーとしてはじめに処理されるかどうかを検討する。次に、2秒の時間を操作して、短期的な情報処理プロセスを評価する。 その他、コンピューター、ソフトウェア、資料など、研究実施に必要な物品を購入する。
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