研究課題/領域番号 |
23730615
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
大久保 智生 香川大学, 教育学部, 准教授 (30432777)
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キーワード | 学級適応 / 学級経営 / 学級雰囲気 / 教師 / 児童 |
研究概要 |
23年度に行った研究で作成した尺度を用いて、教師の学級経営のスタイルによって児童の学級適応に違いがあるのかを明らかにすることを目的とした。さらに、教師の学級経営のスタイルと学級集団の雰囲気との適合性が児童の学級適応に及ぼす影響について検討することを目的とした。公立小学校担任教師46名(男性18名、女性28名)および担任学級の児童1252名(男子636名、女子616名)に質問紙調査を実施した。教師に対しては、①教師の学級経営のスタイルと②教師の学級経営のスタイルと学級集団の雰囲気の適合度を尋ねた。児童に対しては、①学級適応感(江村・大久保, 2012)と②児童の学級適応(浜名・松本, 1993)を尋ねた。分析の結果、教師歴10~19年の教師が担任する学級において、児童の学級適応は高くなることが明らかとなった。「教師の指導観を重視した経営」得点と「子ども集団の特性を重視した経営」得点の高低から教師の学級経営のスタイルを4群に類型化し、教師の学級経営のスタイルと学級集団の雰囲気の関係に焦点を当て、児童の学級適応に及ぼす影響について検討した。その結果, 教師の学級経営のスタイルと学級集団の雰囲気の適合性が児童の学級適応に影響を及ぼすことが明らかとなり、さらに、教師の学級経営のスタイルと学級集団の雰囲気が不適合の際には、教師の学級経営のスタイルによって、児童の学級適応に与える影響に違いがみられることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査協力校とのこれまでの関係から、スムーズに調査が実施できているため、これまでのところ、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究では、学級経営の柔軟性が低く、担任する学級の児童・生徒が適応の問題を抱えていると評定された教員数名を対象に、教師用RCRTを実施し、その結果をもとにカンファレンスを行う。カンファレンスでは、教師自身が自らの学級経営を振り返り、見つめなおす機会を提供し、教師間で学級経営のあり方について討議を行い、その実施前と実施後の変化について検討する。 具体的には、これまで行った研究において、学級経営の柔軟性の得点が低く、担任する学級の児童・生徒の学級適応の得点も低い教師を対象として、教師用RCRTを実施する。その結果をもとに事例カンファレンスを行い、カンファレンス実施前と実施後の児童・生徒の学級への適応の変化について、教師へのインタビューや授業観察の中で具体的な問題行動などの計測なども行いながら効果を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
授業観察を行うことからも補助者が必要である。また、事例カンファレンスを開催するため、そのために持ち運び可能なPCとプロジェクターを購入する。非常に大量のデータが集まっているので、シュレッダーを購入し、個人情報が漏洩しないよう配慮し、研究を進めていく。そして、研究成果を各種関連学会や研究会等で積極的に発表していく。
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