研究課題/領域番号 |
23730622
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
荒牧 美佐子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (80509703)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 家庭教育 / 小1プロブレム / 育児感情 / 子育て支援 / 自己制御 |
研究概要 |
本研究は、幼児期の家庭での教育的かかわりが、小学校就学後における子どもの学校生活への適応にどのような影響を与えるかについて検証することを目的としている。その第一段階として、幼児を持つ保護者への縦断的な質問紙調査を実施する。今年度は、調査の協力先である自治体の教育委員会や保育所・幼稚園と調査実施のための調整を重ねるとともに、質問紙票の作成を行った。調査票は、母親のしつけスタイル、育児感情、周囲からのサポート、文字や数への取り組み、小学校への入学準備状況、子どもの将来への期待、家庭内の文化的資本・環境、そして、子どもの発達(問題行動の有無、自己制御機能)について尋ねる項目を含む。これらのうち、しつけスタイル尺度については、予備調査で得られたデータの分析から、受容的、統制的、過干渉の3つの因子により構成されることが明らかになった。さらに、これらのしつけスタイルと母親の育児感情との関連を検証した結果、子どもの行動や態度に対する負担感が強い母親ほど、子どもに対して受容的な関わりをせずに、統制的なしつけスタイルをとる一方で、子育てへの肯定感が高い場合には、受容的に関わっていることがわかった。また、育児への束縛による負担感や子どもの発達や育ちへの不安感が高いほど、過干渉である傾向が見られた。こうしたしつけスタイルの違いは、幼児期の子どもの発達にも影響を及ぼすことが考えられるが、母親が子育てに対してどんな感情を抱いているかによって、子どもへのかかわり方が異なることが明らかになった。 今後は、この他の項目選定に関しても、予備調査の結果や先行研究の知見を参考にさらに検討を重ねた上で、家庭での親子のかかわりが就学期における子どもの発達に与える影響について検証を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、研究開始年である23年度中に、幼稚園・保育所を通じて年少から年長児を持つ保護者に対し、第1回目の縦断的な質問紙調査を実施する予定であった。しかし、調査に協力してもらう幼稚園・保育所や保護者の負担を考慮した結果、初年度は調査を実施せず、2年目以降に年中児・年長児を持つ保護者を対象とした第1次調査を開始することとした。
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今後の研究の推進方策 |
23年度に調査を開始しなかった分、24年度は、調査協力の対象者(幼児を持つ保護者)の数を増やし、第1回目となる縦断調査を実施する予定である。対象者一人あたりへの調査回数を減らすことで負担軽減を図る一方、対象者の数を増やすことにより、データの信頼性を高めることが狙いである。 また、質問紙調査と並行し、25年度以降の実施を予定している、就学後における子どもへの調査に関する手続き・内容検討にも着手する。小学校への子どもの適応状況を把握することが調査の目的である。調査対象が子ども自身であることから、小学校教育の現場に詳しい専門家にヒアリングを行うなどしながら作成を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
質問紙調査の実施にあたって、調査票の印刷費や調査票配布・回収にかかる通信費、また、調査票回収後のデータの入力代金(外注)等に使用する予定である。そして、データ分析に必要な高性能のパソコンの購入を予定している。 調査によって得られた知見については学会にて発表することを予定しており、そのための学会参加費、出張費として使用する。
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