研究課題/領域番号 |
23730622
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
荒牧 美佐子 目白大学, 人間学部, 講師 (80509703)
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キーワード | 家庭教育 / 小1プロブレム / 幼保小連携 |
研究概要 |
本研究は、幼児期の家庭での教育的かかわりが、小学校就学期における子どもの学校生活への適応にどのような影響を与えるかについて検証することを目的としている。本研究の意義は、保護者とその児童を対象とした縦断的な調査を実施することによって、幼児期の家庭での教育的なかかわりが小学校入学後の子どもの発達に与える影響について、因果関係を含めて検証できることである。そこで、第一次調査では、幼児を持つ保護者への縦断的な質問紙調査の実施、第二次調査では、小学校1年生の児童への質問紙調査の実施を計画している。今年度はまず、第二次調査の協力校を募り、都内22校の小学校から了承を得た。続いて、各小学校の学区内にある私立・公立の幼稚園、保育園に調査の協力を依頼し、幼稚園21園、保育園54園を通じて、第一次調査を実施した。調査票は、母親の養育態度、育児感情、文字や数への教育的な取り組み、絵本の読み聞かせ、小学校への入学準備状況、家庭内における文化的資本・環境、習い事、そして、子どもの発達(問題行動、自己制御機能)等に関する設問で構成されている。現在、第一次調査によって得られたデータを入力中である。 また、第一次調査と並行して、パイロット的に実施した調査の分析を行った。その結果、子どもへの教育費や世帯年収が高い家庭、また、親の学歴が低い家庭では、早い時期から子どもに対して、文字や数の教育を熱心に行う傾向が見られた。一方で、家庭にある蔵書数が多い家庭(絵本や漫画を除く)では、子どもに自分自身で考えさせるような促しを積極的に行っていたが、こうしたかかわりの多さと親の学歴や世帯年収は関連が見られなかった。このような結果が本調査によっても得られるかどうか、また、縦断的に検証した結果、幼児期の親のかかわりが子どもの発達にどんな影響を与えるのかについて、今後調査並びに検証を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
都内の幼稚園・保育園を通じて、保護者への質問紙調査を実施した。調査票の配布時期は2013年3月、配布数は合計4,944通である。回収は郵送法を用い1,354名から回答を得た。現在、データの入力を行っている。第一次調査については順調に進んでいる。また、第二次調査では、小学校を通じ児童への質問紙調査を予定しているが、すでに協力校の選定はすんでおり、今後、調査内容の検討に着手する予定である。ただし、第一次調査の結果次第では、保護者データと児童データのマッチング数を確保するために、協力校をさらに増やさなければならない可能性もある。
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今後の研究の推進方策 |
3年目となる25年度は、第一次調査データの分析を進めるとともに、保護者への縦断調査を引き続き実施する。また、就学後の児童を対象とした第二次調査の調査票を完成させ、2014年1月をめどに調査の実施を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度同様、質問紙調査の実施にあたって、主に、調査票の印刷費や調査票配布・回収にかかる通信費、また、調査票回収後のデータの入力代金(外注)等に使用する予定である。そして、調査によって得られた知見については学会にて発表することを予定しており、そのための学会参加費、出張費に充てる。
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