研究課題/領域番号 |
23730627
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
香川 秀太 大正大学, 人間学部, 講師 (90550567)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流(アメリカ) |
研究概要 |
本研究は,「学校インターンシップ」で生じる4つの問題,「学生(異学年)間の不十分な技術継承」,「省察のない学生の体験」,「現場側と大学側との間の境界」,「学術知と実践知の不結合」に着目し,(1)これを改善し,かつ社会人基礎力をより効果的に育成する,教育実践とツールを開発するものである。具体的には,「学生参加型のテキスト創りと徒弟制的システムの開発」,「省察を促す共同学習とWEBシステムの構築」,「学生チーム運営の模擬授業研究会と受け入れ校との組織間交流」,「学術知と実践知との相互作用の活性化」を行うことを目指す。そして,(2)各実践の中での学生の学習過程の調査,(3)実践とツールの改良という,実践研究を試み,教員養成やキャリア教育に提言を行うことを目指す。今年度は,学生間の技術継承や学術知を実践知の結合を促すため,学生主体のテキスト開発を行い,ほぼ完成した。テキストは今年度の春学期中に学生に配布する予定である。また,学校インターンシップの省察を促すためのグループワークを開発・実施し,その過程をデータ収集した。さらに,学生主体の学習コミュニティをつくり,その学習過程をフィールド調査した。また,社会人基礎力をもとに,学校インターンシップ用の尺度を作成し,データ収集を行った。以上の内容について,積極的にアウトプットも行った。具体的には,文化心理学の第一人者,ユーリアエンゲストロム氏を本学に招いて,国際シンポジウムを企画し発表した。また,国際学会(ISCAR)にて,正統的周辺参加論の提唱者である,ジーンレイヴ氏をディスカッサントとするペーパーセッションにて,口頭発表を行った。そして,日本認知科学会が発刊する雑誌,認知科学にて,それらの成果をまとめた論文が発刊された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究実績の概要の通り,データ収集及び分析はおおむね予定通り進んでおり,実践的な成果も現れ始めている。ただし,予定していた,学校インターンシップのWEBシステムの開発は,案はできたものの,予算不足から実施が困難となり,行き詰っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,学校インターンシップの問題を改善しその過程を調査するアクションリサーチである。既に,学生の学習過程について,質問紙調査や相互行為過程のデータを収集してきたが,今後さらにデータ収集を行い,分析もすすめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
社会人基礎力の学校インターンシップ用の尺度については,まだデータが十分ではないため,引き続き,データ収集につとめる。開発した学生主体のテキストについては,今年度,冊子として印刷し,学生に実際に配布して使用してもらう。使用しての改善点等,学生(ユーザー)からアンケートやインタビューにより情報収集し,集計する。その結果をもとに改善していく。テキスト以外には,先輩学生が後輩に技術を教える場を設けたが,先輩と後輩との授業時間が思うように折り合わず,また継続して現場に行く先輩学生も少ないことから,当初の想定よりも部分的な実施にとどまっている。このため,規模を小さくして調査を進めることにする。WEBシステムについては,案をつくり,業者との交渉まですすんだが,予算不足から行き詰っている。こちらも,安価な業者を探したり,規模を小さくするなどして対応していく予定である。
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