研究課題/領域番号 |
23730629
|
研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
布施 光代 明星大学, 教育学部, 准教授 (10454331)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 教育心理学 / 認知発達 / 素朴概念 / 特性理解 |
研究概要 |
本研究の目的は,人間の生物学的特性と社会的特性に関する理解が幼児期から児童期にかけて,どのように変化するのかについて検討し,領域を超えた認知的操作のモデルを構築することである。領域を超えた認知的操作を行うためには,メタ的に捉える能力が必要であると考え,そのような視点を持つことが発達し,可能となっていく幼児期から児童期の子どもを対象に,発達的変化のメカニズムを明らかにすることを目的とした。そのために,統制可能性を操作し,生物学,社会的領域内で葛藤する特性をもつ人物像(例えば,現在の栄養状態と遺伝的な要因など)を用いた課題に対し,子どもたちがどのように統制可能性を考慮するようになるのか,複数の葛藤要因を考慮できるのか,それとも片方のみを重視するのかについて検討することとした。平成23年度の研究計画として,(1)横断的実験による検討,(2)縦断的観察による検討,の2つの研究を予定していた。(1)に関しては,幼児(年中児,年長児)および比較のための大学生を対象とした個別実験,調査を実施した。具体的には,生物学的特性,心理的特性,社会的特性が葛藤するような課題を用意し,将来の特性を推測させることで,それぞれに関する理解と領域間の関係に関する理解の発達的変化の検討を行った。得られた結果は,学会のポスター発表および学会のラウンドテーブルでの発表を行った。今後,さらに分析を進める予定である。また,(2)の縦断的な観察については,現在準備を進めているところである。また,研究で得られた成果については,本の分担執筆の中で紹介した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
24年度の研究計画として,生物学的特性と社会的な特性の理解の発達的変化の検討するため,(1)縦断的実験による検討,(2)横断的観察による検討,の2つの研究を計画していた。(1)に関しては,幼児(年中児,年少児)それぞれ約30名を対象に,生物学的特性,心理的特性,社会的特性が葛藤するような課題を用い,将来の特性を推測させる課題を個別実験形式で実施した。また,幼児に用いた課題と同様の課題を用い,大学生約100名を対象とした調査を実施した。しかし,予定していた児童期の子どもを対象とした調査を実施することができなかった。また,(2)の横断的観察として,幼児を対象とした観察研究を計画していたが,こちらは現在準備中である。以上の理由から,やや遅れているとした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,まず,幼児期,児童期の子どもを対象とした実験調査および観察研究を行い,引き続きデータを採取していくことを考えている。また,子どもの発達的変化の過程と比較をするため,大人である大学生を対象とした調査も実施する予定である。得られたデータをもとに,複数の領域を超えた認知的操作のメカニズムを説明するようなモデルの構築を目指していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に引き続き,継続的な観察を行うための旅費,データを保存する媒体が必要である。また,複数の領域を超えた認知的操作の解明に基づき,子どもの発達に即したカリキュラムの提案を行うため,研究の打ち合わせに必要な経費,旅費を計上する。
|