盲導犬育成ボランティアの中の一つにパピーウォーカーのボランティアがある。パピーウォーカーとは、盲導犬候補のパピーを盲導犬協会から委託され、約10ヶ月間にわたり家庭で育成するボランティアのことである。また、公益財団法人日本盲導犬協会は、受刑者が盲導犬候補のパピーを育成する「島根あさひ盲導犬パピープロジェクト」を行っている。これは、平日は、受刑者が社会復帰促進センターの中でパピーを育成し、週末は、地域のボランティアであるウィークエンドパピーウォーカーがパピーを家庭で育成するプロジェクトである。これらのボランティアは、盲導犬育成に貢献するだけではなく、パピーを受け入れる家族や受刑者に多大な影響を与えると考えられる。 本研究では、日本盲導犬協会の協力を得て、ウィークエンドパピーウォーカーと盲導犬育成事業における介在活動や教育を対象に調査を行い、パピーウォーカー経験による心理的効果の検討と、動物介在教育プログラムの構築を目的した。 本年度の研究では、盲導犬育成事業における介在活動や教育を対象に調査を行い、パピーウォーカー経験による心理的効果の検討を行った。また、盲導犬には向かなかったが、介在教育には適性があると考えられるキャリアチェンジ犬を用いた動物介在教育プログラムを検討した。 具体的には、日本盲導犬協会が行っているウィークエンドパピーウォーカーを対象に面接調査を行い、ボランティア経験による心理的効果について検討した。その結果、ウィークエンドパピーウォーカー経験は、盲導犬育成に貢献するだけではなく、ボランティアを行う側にも心理的な利益があることが分かった。さらに、その結果を踏まえ、日本盲導犬協会の本研究協力者と専門家チームを構成して、キャリアチェンジ犬を用いた介在教育の可能性を検討した。以上の結果から、キャリアチェンジ犬を用いた介在教育プログラムについて考察した。
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