研究課題/領域番号 |
23730639
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研究機関 | 独立行政法人大学入試センター |
研究代表者 |
荒井 清佳 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教 (00561036)
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キーワード | テスト理論 / 教育測定 / 問題作成技法 |
研究概要 |
本研究は,(1)文献調査およびインタビュー調査,(2)テスト項目と受験者の解答プロセスの関係の分析,(3)執筆ガイドラインの作成と妥当性の検証,で構成される。 本年度は,(1)に関連して,センター試験の「生物」について,その出題傾向の推移を分析した。具体的には,平成2年度,平成12年度,平成22年度のセンター試験の「生物」で出題された問題の内容を調べ,知識の活用を問う問題の出題傾向に焦点を当てて,その推移を分析した。その結果,知識を問う問題と思考力を問う問題とのバランスの取れた出題が目指されていることが分かった。 また(2)に関連して,小問形式のテスト項目を作成し,解答してもらった。具体的には,簡単な数学のような問題では,記述式の解答の練習をしていない場合には解答課程を記述することが難しく,何となく答えにたどり着いているように答案では見えること,また,小論文においては,採点基準が細かく決まっていても採点者によって与える点数が異なってしまうこと,などが確認された。 このほか,数学の解答形式に関するアンケート調査を行った。数学の解答形式には大きく分けて,記述式,多肢選択式のほかに,最終的な答えだけを記入する短答式,センター試験のように数字を直接マークする数字選択式がある。アンケート調査の結果,記述式には,解答方法を自由に選べることから答えやすいという意見がある一方で,数字選択式の方が途中の誘導があるため安心して解答できるという意見があるなど,解答のしやすさは人それぞれであることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度には,「研究実施計画」で平成24年度の計画として考えていたものを達成できなかったため,「(4)遅れている」と評価する。 その大きな理由は,日程の調整がつかず,インタビュー調査を実施できなかったことである。また,分析のために問題を試作しているが,難易度を適切に調整するのが難しく,試行を繰り返す必要が生じたことも理由である。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗状況は,当初の「研究実施計画」より遅れてはいるものの,着実に研究は進んでいる。平成25年度は最終年度に当たるため,これまでの成果と反省をいかし,効率的にインタビュー調査を行い,計画的に実験を進め,研究を推進していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験計画が遅れているため,本来であれば,昨年度までに終わっている計画が終わっていないため,次年度に使用する研究費が生じてしまった。 まず,インタビュー調査を実施し,そのまとめを行うための書き起こし等に使用する。 また,実験を計画しており,その実験準備,また被験者等に謝金を支払う。 これまでの成果をまとめ,報告するため,学会発表のための経費として使用する。
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