問題項目が適切であることは,適切な試験を実施するための必要条件である。しかし,適切な項目を作成するための指針として提案されているものは基礎的なものにとどまり,しかも実証的な証拠に基づいたものではない。そこで,本研究では項目執筆者へのインタビュー調査等とともに,客観テストの問題項目を執筆するための指針を提案し,多くのテストで利用されている客観テストをより有益なものにすることを目的とする。 研究期間の全体を通じて,まず日本及び英語圏における関連する文献の調査を行い,その調査に基づいて,実際に問題を作成している問題作成者へのインタビューを行った。その結果,作成している試験により多少の違いはあるものの,問題作成において重要と考えていること,良い問題および悪い問題への評価等について,おおむね共通した認識が持たれていることが分かった。 また,小問形式および大問形式のテスト項目を作成し,その解答プロセスデータを収集した。不得意な受験者は解答中にあまりメモを取らない様子が見られた。逆に得意と考えられる受験者は解答過程を事後の再現がスムーズにできていた。また,多肢選択式形式の問題について,選択肢のセットを変更して出題し,選択肢の内容によって問題項目の特性に違いが生じることを確かめた。 また,数学や国語について出題形式についてのアンケート調査結果の分析を行った。その結果,数学では記述式を好む人が多く,ついでセンター試験のような数字マーク式を好む人が多かった。
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