研究課題/領域番号 |
23730640
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
西田 裕紀子 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 予防開発部, 研究員 (60393170)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 中高年者 / 知能 / 縦断研究 |
研究概要 |
本研究課題は,「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の縦断データを用いて,中高年期における知能の12年間の経時変化を明らかにするとともに,知能の経時変化に影響する心理社会的要因を実証的に検討し,中年期から高齢期にかけて知能を高く保持するための年代別のストラテジーを提言することを目的としている。1.具体的内容:平成23年度には、以下の研究を進めた。(1)データ収集:NILS-LSAの第7次調査として、半構造化面接及び自記式調査票により、知能及びその関連要因に関するデータ収集を行った。(2)解析:これまでに蓄積されている第1次~第6次調査のデータを用い,知能の経時変化とライフスタイル要因(余暇活動・教育歴),内的要因(抑うつ・開放性)との関連について検討を行った。(3) 研究発表:上述の結果について、学会発表を行い、論文を執筆した。2.意義・重要性:日本国内では,中高年者の知能のエイジングに関するデータはほとんど蓄積されていない。本研究課題によるデータ収集は,日本人中高年者の知能の12年間の経年変化を捉えることを可能とする点で意義深いものである。また,解析の結果,知能の経年変化には「抑うつ」や「開放性」,「教育歴」が影響していること,知能の個人差には「余暇活動」が関連することが示された。さらに,それらの影響は年代によって異なることも明らかになった。このように,解析の結果からは中高年期に知能を維持・向上する可能性のある心理社会的要因が見出されてきており,本研究課題の目的の遂行のために重要な知見が得られたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の計画として,縦断データ収集,これまでに蓄積されたデータを用いた解析,研究成果の発表を予定し,申請していたが,おおむねそれらに合致した内容で研究を遂行し,成果をあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,初年度に引き続き,縦断データの収集を行うとともに,新たに収集したデータを追加し,知能の12年間の経年変化に関する検討を行う。また,知能の経年変化に影響を及ぼす要因についてさらに検討するとともに,これまでに見出された知能の変化に影響するライフスタイル要因,内的要因間の因果関係を組み込んだ,多変量縦断解析を行う。これらの研究結果を学会や論文投稿により公表するとともに,中年期から高齢期にかけて知能を高く保持するために効果的なストラテジーを構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度は,東日本大震災に伴う財源確保のために交付の減額変更を行う可能性があるとされていたため,物品費・その他等の支出を抑えたことから,次年度以降への繰越が生じている。 平成24年度には,繰越分を含め,主として,物品費(知能検査用紙購入費・印刷用紙購入費・印刷用トナ代ー・文具・書籍など),人件費・謝金(面接を担当する臨床心理士、心理学専攻大学院生の雇用など),旅費(研究成果を発信するための学会や資料収集のための講習会など),その他(研究成果を発信するための学会参加費・投稿料・別刷り印刷費・英文校閲費など)に使用する予定である。
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