本研究は、地域から無作為抽出された中高年者約2,300名の12年間の縦断データを用いて、中高年期における知能の経時変化を示すとともに、知能の維持あるいは向上に効果的な心理社会的要因を明らかにすることを目的とした。主な成果は以下のとおりである。①知能の経時変化は、知能の側面によって異なるとともに、年代に関連なく個人差が存在する。②中年者の知能の向上には、教育歴の高さが関連するが、その効果は限定的である。③高齢者の知能の維持には、抑うつを予防したり、好奇心旺盛に過ごしたり、文化教養活動に従事したりすることが効果的である。
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