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2012 年度 実施状況報告書

侵入思考に対する自我異和的評価を支える条件の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23730644
研究機関東北大学

研究代表者

荒木 剛  東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20510556)

キーワード侵入思考 / 自我異和感
研究概要

様々な精神障害における中核となる症状に、侵入思考(intrusive thoughts)がある(Clark, 2005)。妄想、自動思考、強迫観念、心配など、これらは本人の意志とは無関係に意識の中に繰り返し侵入して通常の認知的活動を著しく妨害し、不安や恐怖などの否定的感情を強く喚起する。
侵入思考は健常者群にも発生するが、臨床レベルにまで悪化していく原因として、思考抑制の関与が強く疑われている(Clark, 2005)。思考抑制につながりやすい認知評価次元としては「自我異和性」がある(荒木ら, 2010)が、他の評価次元との関連性を含め、生起しやすい条件についてはほとんど明らかとなっていない。本研究の目的は、①自我異和的評価と他の認知評価の関係を整理する、②TAFと自我異和的評価の関係を明らかにする、③思考の制御困難性が自我異和的評価に及ぼす影響について検討する、④思考の新奇性/既知性が自我異和的評価に影響していく過程を調べる、の4点に集約される。
平成24年度はこのうち①と②について検討するための質問紙調査を実施する予定であったが、準備作業に予想以上の時間がかかり、②のみの実施となった。また、自我異和感尺度日本語版(荒木ら, 2010)の構造を見直し、短縮版の作成を試みた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実施予定であった2つの質問紙調査のうち、一方しか実施できなかったため。ただし、もう一方の調査の準備は順調に進んでおり、25年度前半の早い時期に遅れは回復できる見込みである。

今後の研究の推進方策

今年度は、③思考の制御困難性が自我異和的評価に及ぼす影響、④思考の新奇性/既知性が自我異和的評価に影響していく過程、の2点について主に検討していく。
リバウンド現象によって何度も同じ思考が発生する場合、その内容よりも“思考が制御できない”ことに対して強い自我異和感が生じる可能性がある。③はこの点について実験的検討を加えようとするものである。具体的な実験手続きは、以下のとおりである。まず、被験者に日常的に体験しやすい不快な出来事(“失恋”など)に関するシナリオを渡し、その主人公になったつもりで読むように教示する。その上で、不快条件ではシナリオ内容に関連する複数の不快な刺激語(「裏切り」など)を、中性条件では中性的な刺激語(「入学」など)を呈示し、それらの意味と使用例文を記述してもらう。その後、3分間の抑制ピリオドを設ける。抑制中は先ほど記述した刺激語の意味と例文について一切考えないようにと教示し、考えてしまった場合はその回数を記録してもらう(抑制条件)。統制群には抑制を求める教示は行なわないが、同様にリバウンドした回数を記録してもらう。抑制ピリオド終了後、EDQおよび侵入思考の苦痛度・制御困難感に関する項目に回答を求める。
分析の際には、操作チェックとして思考のリバウンド回数・制御困難感・苦痛度を各条件間で比較し、不快・抑制群が最も苦痛かつ制御困難で、思考のリバウンド回数も多いことを確認する。その後、EDQの得点を各条件間で比較する。
また、④として自我異和的評価の程度が時間経過に伴ってどのように変化していくか検討する。③の実験と同様の手続きを用いるが、刺激語はシナリオ内容に関連した不快語のみとする。実験は3回に渡って実施され、新規呈示条件では毎回新しい単語が、反復呈示条件では毎回同じ単語が呈示される。分析も③と同様に操作チェックを行った後、各条件間でEDQ得点を比較する。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度前期中に①の調査を完了させ、並行して③の実験および④の実験準備を進める。後期開始後まもなく④の実験を開始し、年内にデータ収集を終える予定である。研究費の主な用途としては、実験に使用するパソコンおよびソフトの購入、調査・実験協力者への謝礼、心理尺度の購入、研究補助者(データ入力等の作業の補助)への賃金、英文校正代金、学会発表時の旅費などである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 自我異和感尺度短縮版作成の試み2013

    • 著者名/発表者名
      荒木剛・佐藤拓・菊地史倫・池田和浩
    • 学会等名
      日本パーソナリティ心理学会第22回大会
    • 発表場所
      江戸川大学
    • 年月日
      20131011-20131012

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公開日: 2014-07-24  

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