侵入思考および記憶の概括化に影響すると考えられる認知特性と転換的語り直しの効果の関連性を明らかにした。実験の結果、思考統制能力の低い参加者は、転換的語り直しの効果が顕著に生じやすく、語り直しがコーピングスキルの向上につながることが確認された。また、語り直すことへの肯定的な信念を促進しうる認知的特性を明らかにした。調査の結果、語り直しの効果を高めるにある程度の楽観性もつ必要があることが示唆された。つまり、物事への肯定的な解釈能力の高さや、思考統制能力の高さが、語り直しの信念を調節し、個々人の心理的な健康を導くものと推察される。
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