研究課題/領域番号 |
23730646
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
樫村 正美 筑波大学, 医学医療系, 助教 (00550550)
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キーワード | 感情育成 / 情育 / 感情コンピテンス / 乳幼児支援 |
研究概要 |
本年度は、主に乳幼児、および乳幼児を持つ母親を対象とした感情育成支援に関するプログラム作成にあたった。まず、感情育成支援に適したプログラムである「活動に根ざした介入:社会感情コンピテンス育成のための支援(Activity-Based Approach: Social Emotional Competence(以下、ABI:SE))」に着目し、そのマニュアルの翻訳作業、およびABI:SEに付属するスクリーニング尺度である「環境スクリーニングテスト」および「社会感情コンピテンススクリーニングテスト」の翻訳作業にもあたった。 実際に、2つのスクリーニングテストを乳幼児(4ヵ月~5歳児)の子をもつ母親を対象に予備調査を面接形式で行い、文化的な背景の違いによる差異、ワ―ディングのチェックなどを行い、わが国においても比較的利用可能なツールであることが示された。それらの結果を含め、ABI:SEに関する研修会を子育て支援に携わる専門職を対象に行い、各現場において使用してもらい、実際の使い勝手やその有効性などをフィードバックしてもらうよう、各専門職の方々に依頼することができた(現在はそのフィードバックを待っている状況である)。 また、昨年度から継続している小中学生を対象とした感情育成支援に関して、これまでのデータをまとめたものを国際学会にて報告し、各国の研究者たちと有意義な意見・情報交換を行うこともできた。次年度は最終年度となるため、実際にこれまでの知見をまとめた感情育成支援のためのプログラムを構築し、子どもとその養育者を対象に実施していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属機関の変更に伴い、研究実施環境の変化に伴う研究推進のペースダウンもあり、加えてこれまで申請していた研究倫理委員会への申請も出し直す必要がある。また、手ごたえとして例年、調査協力や実験・介入協力を承諾してくださる教育機関が徐々に減り始めている印象を持っている。そのため、今後も研究協力者確保のために普段よりも多くの労力が必要とされることが予想されることや、新たな環境で協力機関との関係構築を再度一から行わねばならない事情もある。これまで協力してくださった各機関、研究者の方々の協力などを得ながらできる限りの工夫を行い、研究を進めて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は感情育成支援のためのプログラムを子ども、および養育者を対象に実施し、その効果を検証することを目標としている。そのため、まずは新環境において新たに研究協力を承諾してくださる教育機関や医療機関への協力要請から地道に始め、できるだけ多くの協力者を募ることが目指される。実際、研究代表者の新所属には附属病院があり、そこの小児科、精神科などの協力も得ながら、協力者確保へつなげることも期待できる。 上記の介入研究に加え、引き続き児童・青年、およびその養育者を対象とした感情育成に関する予備調査を続けて行くことにより、得られた結果を実施するプログラムに肉付けし、よりよい支援プログラムの構築が期待できる。予備調査に関しては、他大学などの研究者に協力要請し、調査実施を援助してもらう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
大まかには平成24年度と同様の使用計画でいる。平成25年度も得られた結果を国内外の学会などで報告し、意見交換を行うことに加え、介入研究を実施する際にかかる物品、消耗品等の諸経費、また参加協力に対する謝礼などを踏まえると、おおよそ平成24年度と同等の配分使用額となる見込みである。
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