研究課題/領域番号 |
23730647
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小堀 修 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 特任講師 (40436598)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 強迫性障害 / 再保証を求める行動 / 認知行動療法 / うつ病 |
研究概要 |
平成23年度ではまず、日本語版のReassurance Seeking Questionnaire (ReSQ)を作成した。英語版のReSQは、再保証を求める行動について、頻度、信頼、強度、注意深さ、気分の変化の5つの側面を測定することができる。(1)頻度: 家族・治療者・自分の記憶・メモ・本・ウェブなどの各情報源から、どのくらい再保証を求めるか。(2)信頼: 家族・治療者・自分の記憶・メモ・本・ウェブなどの各情報源を、どのくらい信頼しているか。(3) 強度: 再保証を求め始めるときに、同じ質問を何度繰り返すか。(4)注意深さ: 相手の回答に矛盾がないかを考えようとするなど、どのくらい意図的な努力を行なうか。(5)気分の変化: 再保証を得たとき・得られなかったとき、不安等の気分が短期的・長期的にどう変化するか。日本人大学生129名を対象とした調査にて、日本版ReSQの信頼性と妥当性を検証した。次に、ReSQ-JをOCD患者22名、大うつ病患者14名、健常者22名に実施し、群間で得点を比較した。その結果、OCD患者とうつ病患者は、健常者よりも、再保証を求める頻度、信頼、注意深さが高く、OCD患者は大うつ病患者と比べて、再保証を求める強度において高い得点を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進展している。上記の調査研究では、ほぼ予定した人数をリクルートすることができ、統計分析も完了した。
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今後の研究の推進方策 |
OCD患者を支える家族は、患者に再保証を与える役目を負わされたり、患者の儀式に巻き込まれたりする平成24年度ではまず、OCD患者を持つ家族5名に30分程度の半構造化面接を行う。インタビューはテープ起こしを行って、そのスクリプトを主題分析(Thematic Analysis)を用いて質的に分析する。治療者もまた再保証を求める対象となり、患者からの要求にうまく対処できないと、治療同盟が損なわれる要因となる。そこで、申請者が英国で作成した治療者用Reassurance Seeking Questionnaireを翻訳・改変し、日本人で、強迫性障害の治療経験のある者20名を対象に調査を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究では、以下のように研究費を使用する予定である。インタビューを録画するため、ビデオカメラを購入する。得られた質問紙データの入力、インタビューのテープ起こしをしてもらうため、謝金を支払う。国内外での研究成果発表、海外の研究者との打ち合わせのため、旅費を使用する。英語論文の校閲費、投稿料、出版された後の別刷料を支払う。その他、印刷費、複写費、通信費、書籍費などに充てる。
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