研究課題
平成24年度では、OCD患者を持つ家族5名に30分程度の半構造化面接を行った。インタビューはテープ起こしを行い、そのスクリプトを主題分析(Thematic Analysis)を用いて質的に分析した。その結果、以下のことが明らかになった。当事者が再保証を求めることを止めようとがんばっていることを、家族もよく分かっている。家族は再保証を求められると、「ばかばかしい」と言いたい気持ちを必死で抑えている。家族は、本来であれば再保証を与えないほうがよいことは分かっているが、当事者に「私のことなんてどうでもいいんだ」と言われてしまうと、与えざるを得なくなってしまう。別の見方を当事者と話し合おうとするが、うまくいくことは少なく、言い争いになってしまう。次に、治療者用Reassurance Seeking Questionnaireを翻訳・改変し、日本人で、強迫性障害の治療経験のある者28名を対象に調査を行った。その結果、以下のことが明らかになった。ほとんどの治療者が、直接的に再保証を求められた経験があるが、間接的に求められたことに気づいた治療者は、3分の2だった。再保証は全く与えてはいけないというものではなく、状況に応じて患者に保証を与えることが必要であることが明らかになった。本研究全体を通じて、再保証を求める行動を包括的に測定する質問紙の日本版を作成し、その信頼性と妥当性を検証すると同時に、再保障の求め方と気分の変化の関係を明らかにした。同時に、再保証を求められる側にある治療者と家族が、患者の再保証を求める行動に、どのように巻き込まれ、どう対処しているのかを明らかにした。
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