最終年度は、研究1において確認された大学生の睡眠に関する困り事とその対処希求の現状に合わせた睡眠健康教育を構築するために、教育内容の選出に関する研究(研究2)を実施し、それらの結果をまとめた睡眠教育教材を開発した。 研究2では、大学生の睡眠問題に関連すると考えられる原発性不眠に限定した認知行動療法に基づくセルフヘルプ研究のシステマティックレビューを行った。その結果、12の研究論文が抽出され、(1)全てのセルフヘルププログラムにおいて行動療法的介入(刺激統制法・睡眠制限法)が採用されていたこと、(2)平均介入期間は約6週間であること、(3)多くの研究では、睡眠に関する基礎知識(睡眠衛生を含む)+行動療法的介入+認知的介入(補足的)+振り返りと再発予防教育で構成されていることが確認された。 研究1と研究2の結果を統合し、以下の特徴を持つ睡眠健康教育教材を開発した。(1)環境因や生活習慣要因、疾患などの直接的な要因では説明できない入眠困難とそこから2次的に生じる日中の過剰な眠気の対処に関する内容であること、(2)睡眠に関する基礎知識と行動療法的発想(非機能的な睡眠対処に気づき、コントロールする刺激統制法や睡眠制限法)に基づく内容であること、(3)大学生の睡眠教育に費やしたいと考える時間的コストが二峰性の特徴があることから、基礎編と応用編の2編で構成されていること、(4)大学生が最もアクセシビリティが高いと評価したウェブサイト上での文字情報中心の形態であること。 なお、本研究成果により作成された睡眠健康教育教材はウェブカタログ形式で作成されており、研究代表者のホームページにて整備次第公開の予定である。
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