本研究では、病的解離とは異なる構造を有する非病理的解離のメカニズムを明らかにし、非病理的解離といじめ悪質化との関連を検討した。まず、病的解離と非病理的解離の特性を各々捉えた上で、非病理的解離の特性を測る質問紙を作成した。次に質問紙調査を実施し、信頼性・妥当性を確認し、4つの下位尺度からなる非病理的解離尺度を完成させた。非病理的解離が、現代青年の共感性や内省性の乏しさと関連すると共に、病的解離とは異なる構造を有することが明らかにされ、今日的な臨床的問題の解決に貢献できたといえる。ただし、いじめ悪質化との関連については有意な相関は見られず、今後、質問紙を修正して再度調査を行うことが課題である。
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