研究課題/領域番号 |
23730654
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
中島 俊思 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 助教 (90568495)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 低出生体重児 / ペアレントトレーニング / 発達障害特性 / 地域援助 |
研究概要 |
東海地区郊外地域の人口8万人の地方都市において、全公立保育園の全園児約1200人を対象に、園生活の適応の調査を行い、低出生体重児群と統制群の比較を行った。用いる適応尺度として、9下位尺度、165項目からなる保育記録による発達尺度(NDSC)を用いた。この発達尺度の評定は、でに"保育の記録"として日常の保育業務の一環として位置づけられ、対象となるすべての保育園ではパーソナルコンピューターによる電子媒体を介して利用されているものである。本報告では2009年度の年少・年中・年長の2月時点のデータを分析した。出生体重が2000g未満の低出生体重児群と2500g以上の標準体重児群との比較を行った。分析の際には、早や生まれや遅生まれといった生まれ月の要因などを統制し、学年、体重群の2要因の分析をおこなった。今回は2009年度在籍児のデータのみを横断的に分析したたため、個人が年少から年中、年中から年長と縦断的に変化する様子は分析されなかった。結果より、全ての尺度で学年の主効果が有意となった。すなわち学年が増すごとにそれぞれの下位尺度得点が増すことを統計的に示唆している。いくつかの下位尺度で、体重比較による主効果が有意になった。すなわち各下位尺度で、出生体重による発達の差異があることを示唆している。さらに交互作用の検定を行ったところ、〝粗大運動"などを除いて交互作用が有意になった。すなわち、"粗大運動"以外では学年が上がるにつれ、差異が解消することが明らかになった。 本横断研究をもとにした原著論文を学会誌に投稿準備中である。また、年少・年中・年長と一世代を縦断的に追跡したデータに関しても整理済みであり、縦断研究としても解析に入っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の、公立保育園における保育の記録入力システムによる園児の把握に関しての、データ収集および整理はおおむね終了している。すでに出生体重の情報に関しては3年分のデータの蓄積があり、コホーと研究であるためそれを縦断的に結合したデータも加工済みである。一方で統計的分析にかんしては、2009年度のデータにかんしては横断研究にかんしてはまとめつつあり、発表予定である。また個人内の3年間の変化を縦断的にとうごうし、それを3世代分結合したコホーとデータに関しては、分析途上である。初年度ではまた総合周産母子センターや地区保健センターとも交渉を行い、広汎性発達障害特性をしるための評定スケールPARSや、自閉症早期発見のためのスクリーニングM-CHATはすでに各施設で導入済みであり、データ収集のシステム等も整理済みである。総合周産母子センターにおけるデータ収集では、M-CHAT得点、出生体重、在胎週数、初産・経産、PVLの有無、IVHの有無といったMR所見、などを同時に収集している。一方で保健センターに関しては、1年に約1000人が参加の乳幼児健診においてデータを収集予定であるが、出生体重に関しては、2012年7月から2013年3月までの情報を、同意のもと収集予定でありその調整をよび準備をすすめている。2013年4月時には、得られたデータをもとに解析が可能で、コミュニティーサンプルにおける低出生体重分布、コミュニティー低出生体重児群および、総合周産母子センター低出生体重児群におけるPARS・M-CHATの特徴把握が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度ではまた総合周産母子センターや地区保健センターとも交渉を行い、広汎性発達障害特性をしるための評定スケールPARSや、自閉症早期発見のためのスクリーニングM-CHATはすでに各施設で導入済みであり、データ収集のシステム等も整理済みである。総合周産母子センターにおけるデータ収集では、M-CHAT得点、出生体重、在胎週数、初産・経産、PVLの有無、IVHの有無といったMR所見、などを同時に収集している。一方で保健センターに関しては、年間に約1000人が参加の乳幼児健診においてデータを収集予定であるが、出生体重に関しては、2012年7月から2013年3月までの情報を、同意のもと収集予定でありその調整をよび準備をすすめている。さらに総合周産期母子センターでは、超低出生体重児および極小低出生体重児の母親を対象にペアレントトレーニングを実施予定である。具体的な規模、回数、スタッフ、内容などにかんしては、現在調整中である。ペアレントトレーニングに関しては、すでにコミュニティーレベルでは実施済みであり、抑うつ傾向の改善、および母親が用いる養育態度の改変に効果があることがしめされており、これに関しては公開を予定している。今後はコミュニティーレベルで実施済みのペアレントトレーニングを低出生体重児用に改編する作業をまず行佑予定である。全6回シリーズを9回程度に拡大し、拡大分の2回にかんしては、子どもの妊娠・出産・NICU入院などに焦点化し、再びグループワークのなかでピアカウンセリング技法を用い、参加者が各自のペースで振り返り体験をシェアすることを主旨としたい。ペアレントトレーニンググループの効果測定としては、コミュニティー実施の時と同様に、抑うつ傾向、養育態度の変化に加えて、NICU入院を経験した母親特有とされる外傷体験尺度に関しても収集し、グループ参加前後での変化をみる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
保健センターおよび総合周産母子にいおける調査ツールを引き続き購入予定である。具体的には、マークシートやスキャン等である。一方で、初年度以上に人件費に多くを要する予定である、実際保健センターや総合周産母子センターで回収したデータに関しては、マークシート形式でデータ化できるものを除いては、バイトスタッフによる手打ちによる入力が中心となり、一定以上の勤務時間を要するためである。一方でペアレントトレーニングに関して実際に実施する場合には、心理職等の専門性ある補助スタッフを雇用するとともに、託児スタッフなども雇用する予定である。母親の抑うつ傾向をしるためのBDIやFDT親子関係診断検査などがこれに該当する。
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