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2011 年度 実施状況報告書

がん患者家族が体験する急性ストレス反応に関する臨床心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730655
研究機関愛知教育大学

研究代表者

三谷 聖也  愛知教育大学, 教育学部, 講師 (00565898)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードがん患者家族 / ストレス反応 / 臨床心理学
研究概要

初年度は調査協力機関の1つである、みやぎ県南中核病医院と、主に量的研究について協議を重ねた。院長、緩和ケア病棟医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士らと、がん患者家族のストレス反応について尋ねる質問紙調査の質問項目の吟味、対象範囲、実施方法、実施時期等について綿密な打ち合わせを行った。その理由はこれらの質問項目には、家族ががんに罹患するというショックな体験を想起させる項目が含まれることから、がん患者家族にできるだけ負担のかからないような配慮をする必要があり、医療機関との連携が不可欠であると考えるからである。現在おおむね質問紙調査の質問項目に関する合意はなされている。この調査をみやぎ県南中核病院とその他のいくつかの医療機関で実施することにより、これまで基礎データが不足していたがん患者家族のストレス反応についての実態把握が可能となる。これらを基にしてエビデンスに基づいたがん患者家族へのケアの拡充が可能となると考える。 一方、今年度は量的研究に加えて、質的研究についても研究を開始している。これはがん患者家族と直接関わることの多い医療ソーシャルワーカーから見た、がん患者家族が体験しているストレス反応とその支援に関するインタビュー調査である。この調査は今後も調査対象者を拡大する予定であるが、現在のところの研究成果では、がん患者特有のストレス反応があるということ、一方がん患者家族を支援する支援者にも特有のストレスが生じることなどが示唆されている。また医療ソーシャルワーカーとして家族支援は社会資源などの制度説明などの専門分野での限定的な関わりであり、家族全体を支援するという視点や、家族の危機をサポートするという視点に課題があることも示された。医療ソーシャルワーカーと臨床心理士等がそれぞれの専門性を発揮しながら相互補完的に家族を支援していくことの有用性が示唆されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は初年度に量的研究を遂行する予定であったが、実施は遅れている。その理由は、東日本大震災の影響により、初年度についてはがん患者家族のストレス反応を正確に測定することが困難と判断されたためである。これは調査協力機関と協議のうえ実施の延期を判断したものである。すなわち家族ががんに罹患したことなどに伴うストレス反応なのか、震災によるストレス反応なのか峻別ができず、がん患者家族のストレスではなく震災による影響を擬陽性として査定してしまう可能性があるからである。震災の影響によるストレスが落ち着いてきたころに実施をするとともに、被験者各人が震災の影響がどの程度であったのかなどのチェック項目を加えることによって、より精度の高い分析を目指していく予定である。

今後の研究の推進方策

今後は、量的研究を集中的に遂行し、がん患者家族の抱えるストレスについての実態把握に努めていく。それを実現するには統計的分析に耐えうる程度のサンプルを集めることが課題となる。量的検討によって得られたエビデンスをもとに、がん患者家族に対する臨床心理学的支援方針の策定を目指していく。 また質的研究に関しては、医療ソーシャルワーカーなど家族支援に携わる支援者を対象にインタヴュー調査を実施し、がん患者家族へのよりよい支援の在り方や、多職種連携によるがん患者へのトータルサポートを模索していく。今後はインタヴュー調査の協力者を10例程度まで拡大し、修正版グランディッドセオリーアプローチ等の質的分析を行って検討する予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度は、旅費については量的研究の調査協力に関わる協議や、質的検討のためのインタヴュー調査に関わる旅費、研究成果の発表に伴う旅費等として使用する予定である。また物品費に関しては、質的分析を行う上での統計ソフトの購入や、緩和ケア、トラウマケア、家族支援等に関する文献購入等に充当する予定である。謝金等の使途については、インタヴュー調査協力者への謝金や、インタヴューの逐語録作成に伴う作業に関わる謝金等として活用する予定である。その他の関しては質問紙の郵送等にかかかる経費等としての使い道を考えている。

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公開日: 2013-07-10  

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