研究課題/領域番号 |
23730661
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
松岡 紘史 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (50598092)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 舌痛症 / 認知行動療法 / 破局的思考 |
研究概要 |
本研究の目的は,舌痛症に対する効果的な治療手段である認知行動療法をより簡便に実施するために,治療ターゲットを絞った低コストの治療プログラムを作成しその効果を検討することであった。これまでの研究で主に認知的再体制化を用いた認知行動療法の舌痛症に対する有効性は明らかにされているものの,セッション回数が12~16回必要であり,コスト面で問題があった。本年度は,舌痛症の症状と関連が報告されている破局的思考の改善に焦点を絞った治療プログラムを作成し,実際に治療を行った際に破局的思考が減少しているかどうか,またプログラム内容の理解度や主観的な改善の程度に問題がないかどうか検討した。痛みに対する破局的思考の改善に焦点を絞ることで,治療プログラムは1回60分全4セッションとなり,2ヶ月半での実施が可能となった。10名の舌痛症患者を対象に認知行動療法に習熟した臨床心理士によって治療プログラムを実施したところ,患者のプログラムの理解度は高く,治療前後で破局的思考も有意に改善することが明らかにされた。また,主観的な改善度を検討したところ,治療プログラムを完了できた患者すべてで何らかの改善が得られており,半数以上では「かなり改善した」という回答が得られた。次年度は作成されたプログラムが痛みや日常の機能状態,気分状態等,痛みの治療で重要だと考えられているアウトカムにどのような効果を持つか検討する。併せて,認知行動療法に習熟していないスタッフによってプログラムの実施が可能であるかどうか検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究予定は,少数例の舌痛症患者に対して作成した治療プログラムを適用するパイロットスタディの実施であり,この目的は達成できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
舌痛症に対するプログラムの効果を多面的に検討するために,痛みだけでなく,日常の機能障害や気分状態等を指標として効果検討を行う。また,認知行動療法に習熟していない治療者によってプログラムが実施可能であるかどうかについても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は舌痛症の治療効果を検討するために患者を対象として介入研究を実施するため,それに伴う費用として研究費を使用する予定である。また,臨床心理士以外のスタッフがプログラムを実施した場合の治療内容の妥当性を検討するためのビデオ機器等の購入費にとして使用予定である。
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