研究課題/領域番号 |
23730661
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
松岡 紘史 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (50598092)
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キーワード | 認知行動療法 / 舌痛症 |
研究概要 |
本研究の目的は,舌痛症に対する効果的な治療手段である認知行動療法をより簡便に実施するために,治療ターゲットを絞った低コストの治療プログラムを作成しその効果を検討することであった。本年度は,前年度に作成されたプログラムの効果を舌痛症患者を対象に多面的に検討することであった。舌痛症患者14名を対象に認知行動療法に習熟した臨床心理士によって治療プログラムを実施したところ,患者の痛みに対する破局的思考がプログラム終了後に有意に減少した。痛みの重症度もプログラム前後で有意に改善しており,十分な改善の基準である50%以上の痛みの重症度の減少がみられた対象者も半数以上にのぼった。生活障害の程度は,尺度の合計得点だけでなく,「日常生活の全般的活動」,「気分・情緒」,「睡眠」の下位尺度でも有意な改善がみられた。また,治療終了後には抑うつ状態でも有意な改善がみられた。 本研究で作成されたプログラムが認知行動療法に習熟していない治療者によっても実施可能であるかどうか検討するために,臨床心理士によるスーパーヴァイズを実施しながら卒後研修中の歯科医師が舌痛症患者に対して治療プログラムを実施した。その結果,患者の痛みの状態に改善がみられ,適切なサポートがあれば,認知行動療法に習熟していない治療者によっても本研究で作成されたプログラムは実施可能であることが明らかにされた。 次年度は,対照群を設定した比較効果研究を実施し,舌痛症に対するプログラムのさらなる効果検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度の研究計画は,舌痛症に対するプログラムの効果を多面的に検討するために,痛みだけでなく,日常の機能障害や気分状態等を指標として効果検討を行うことであり,この目的は十分に達成できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
舌痛症に対するプログラムのさらなる効果検討のために,対照群を設定した比較効果研究を実施し,他の治療法と比べた場合に認知行動療法が舌痛症に効果的であるかどうかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は舌痛症の治療効果検討のために患者を対象として介入研究を実施するため,それに伴う費用として研究費を使用する予定である。また,これまでの成果を学会発表等の形で公表するために経費を使用する予定である。
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