研究課題
本研究の目的は,舌痛症に対する効果的な治療手段である認知行動療法をより簡便に実施するために,治療ターゲットを絞った低コストの治療プログラムを作成しその効果を検討することであった。本年度は,対照群を設定した比較効果研究を実施し,舌痛症に対するプログラムのさらなる効果検討を行った。舌痛症患者14名(57.07±8.62歳)を対象に初年度に開発された治療プログラムを実施した場合の症状の変化について,歯科外来で通常治療を受けている舌痛症患者10名(59.00±9.70歳)と比較を行った。認知行動療法を受けた患者は認知行動療法開始の1ヶ月以上前から認知行動療法実施後まで薬物による治療内容が固定されており,同様に,初診時に受けた治療内容が一定期間固定されていた患者を比較対照群とした。症状の評価にはNumerical Rating Scaleを用い,認知行動療法群は治療前後(T1およびT2)に痛みの評価を行い,通常治療群では初診時から1ヶ月程度経過した時点(T1)および初診時から2ヶ月-5ヶ月経過した時点(T2)で痛みの評価を行った。T1からT2での痛みの変化を,認知行動療法および通常治療群の間で比較するために,分散分析を行った。その結果,有意な交互作用が得られ(F(1,22)=6.15,p<0.5),通常治療群では痛みの減少が見られなかったのに対して,認知行動療法では有意な痛みの減少が認められ(p<0.001),認知行動療法の有効性が確認された。以上のことから,本研究で作成された認知行動療法による治療プログラムは,歯科で行われている通常治療よりも効果的な治療方法であることが明らかにされた。
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北海道医療大学歯学会雑誌
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歯科心身医学会雑誌
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