被害観念と社交不安との弁別要因を検討するために以下の研究を行った。 まず、被害観念を測定するための尺度である、State Social Paranoia Scale(SSPS)の日本語版を作成し、信頼性と妥当性を検討した。その結果、作成した尺度は十分な信頼性と妥当性を有することが確認された。次に、自己や他者へのスキーマや認知バイアス、異常知覚体験と、被害観念や社交不安との関連を検討した。その結果、異常知覚体験以外の変数は、被害観念と社交不安の両方と関連を示したが、異常知覚体験は被害観念のみと関連を示した。よって、異常知覚体験が被害観念と社交不安との弁別要因である可能性が明らかとなった。
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