研究課題
山口とキムが行った2011年から2012年度の若手研究Bでおこなった2つの主要研究についての研究結果、考察、発展をここに説明する。本稿は、①多文化の視点からみた自己批判とうつ傾向に関する経緯と現状、②問題の概要を紹介し、③多様性のある自己批判とうつ傾向の役割について述べることを目的とする。本稿は、文化的自己観というものを使い、日米の大学生の自己批判行動がうつ傾向にどのように影響しているのかを、日米の大学生にサンプルを取り、分析、検証した。統計解析の結果、自立的自己観のレベルが高い日米の学生は、比較的自分自身を批判する傾向があるため、周りと常に自分を比べ批判し、最終的にはうつ傾向が高くなるということが分かった。しかしながら、他者依存的レベルの高い日本の大学生は、自分自身を批判する傾向があり、自分の中で批判する傾向があり、最終的にはうつ傾向が高くなるということが分かった。したがって、本稿の結論として、文化的自己観が自己批判傾向に影響があるということを指摘した。多様性のある自己批判傾向について、社会心理学、コミュニケーションの立場から取り組む一助となれば幸いである。本稿は、大学生における心配や不安感に関する因子構造ついて述べることを目的とする。本稿は、660人の日米の大学生にサンプルを取り、構造モデルを検証した。探索的因子分析を行った結果、日本の男子学生だけが、ユニークな因子構造を示した。第1因子には私的な心配や不安要因を示し、第2因子には公的な、社会的な心配や不安要因を示した。日本人の男子学生は女子の学生と違って、就職することに対して大変負荷がかかり、社会的プレッシャーを感じる傾向にある。本稿の結論として、日本人男子学生の心配・不安感に関してユニークな因子構造を発見した。多様性のある心配や不安構造について、社会心理学、コミュニケーションの立場から取り組む一助となれば幸いである。
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Journal of Health Psychology
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International Journal of Psychological Studies
巻: 5(1) ページ: 1-10
10.5897/IJPC12.032
International Journal of Psychology and Counselling
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