高齢者に過去を想起して語るよう促す対人援助手段である回想法が認知症の予防効果をもつかどうかを検討するため,地域在住高齢者29名(平均年齢は75.4歳)に対して75分×8セッションからなるグループ回想法への参加をもとめ,統制群との比較から回想法が認知機能におよぼす効果を実証的に検討した。認知機能の測定には日本版MOCAを使用した。 群および測定時期を主効果とする2要因分散分析により認知機能への効果を統計的に検討した結果,交互作用に有意傾向が認められた(p<.10)。この結果より,グループ回想法に参加した高齢者は回想法への参加前と比較して参加後に認知機能が改善する可能性があると考えられた。
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