研究課題/領域番号 |
23730677
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研究機関 | 東海学院大学 |
研究代表者 |
城月 健太郎 東海学院大学, 人間関係学部, 講師 (50582714)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 社交不安障害 / 認知 / 情報処理 / 介入 / プログラム / 認知行動療法 / バイアス |
研究概要 |
本研究計画は,個人療法,集団療法によるSADの認知行動療法の効果比較を行うことを目的としている。その際に,SADの維持要因とされるコストバイアスに焦点をあてたSADへの介入プログラムを実施することを目的としている。 そのためには,まずコストバイアスの機能を十分に理解することが求められる。平成23年度の研究では,SAD症状レベルの違いによる,コストバイアスの異同を明らかにすることを目的とした。大学生250名とSAD患者14名を対象として,質問紙調査を実施した。調査材料に,LSAS(朝倉ほか,2002),SCOP(城月・野村,2009),SFNE(笹川ほか,2004)などを実施し,各質問紙の得点を比較した。その結果,SAD患者群の各尺度得点が有意に高いことが認められた。また,同じくSAD症状の媒介要因である不安のコントロール感について測定尺度の開発を進めた。分析の結果,信頼性と妥当性について確認が進められ,他の尺度と同様に,SAD患者の得点が有意に高いことが認められた。これらの結果から,SAD患者の認知的側面の特徴が明らかにされ,認知行動療法的介入を進めることの重要性が示唆された。 また,SAD患者に対する治療研究の予備的検討についても並行して実施を行った。まずは,事例研究を行い,SAD患者の治療における変容過程について検討を進めた。また,エクスポージャーにおける自己評価と他者評価に関する改善プロセスについても解明を進め,SAD患者の自己評価と他者評価の歪みについて,治療過程において継続的に存在することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は,今後の研究計画の基礎となるSAD患者の認知的特徴を明らかにすることを目的としていた。大学生とSAD患者の比較検討を進めることによって,介入プログラムの基礎的知見が得られ,今後の研究を進めるうえでの有効な知見が得られたと考えられる。また,介入研究についても実施を進めており,今後の研究計画を進展させることが期待され,予定通りの実施がなされていることが認められる。以上より,おおむね順調に計画が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,SAD患者に対する介入プログラムを実施する予定である。現在,心療内科において,集団療法の形式による認知行動療法プログラムを実践しており,これから継続して実施をしていく方針である。医療機関との緊密な連携が求められることから,これらの活動を継続していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
介入研究の実施のうえで必要となる,事務用品費,物品費,謝金に加え,これまでの研究成果を報告するうえでの,学会出張費,研究成果発表に関わる経費,論文校閲に関わる費用などを使用する計画である。
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