研究課題/領域番号 |
23730677
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
城月 健太郎 武蔵野大学, 人間科学部, 講師 (50582714)
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キーワード | 社交不安障害 / 情報処理 / バイアス / 認知行動療法 |
研究概要 |
当該年度においては,社交不安障害(SAD)における,コストバイアスや注意バイアスといった情報処理バイアスについての基礎的検討を,昨年度から継続して進めた。さらに,SAD患者に対する個人認知行動療法プログラムの実施を行った。 基礎的検討については,SADにおけるコストバイアスの機能や注意バイアスの働きについての検討を進めた。コストバイアスについては,不安のコントロール感とあわせてSAD症状に影響するモデル検討を行った。その結果,コストバイアスがSAD症状の維持に関与し,不安のコントロール感が緩衝要因である可能性が示唆された。また,注意バイアスの働きについても検討を進めたところ,SAD患者においては,先行する脅威刺激の影響により,注意バイアスにより反応時間の変容が認められた。これらの結果から,SAD特有の情報処理バイアスが症状の維持に関与することが認められ,介入を行うことの有用性が示唆された。 さらに,SAD患者に対して,個人認知行動療法プログラムを実施した。現在,10名程度のSAD患者に対してプログラムを進めている。プログラムは,心理教育・エクスポージャー・ビデオフィードバック・認知的再体制化などの内容により構成されている。プログラムでは,先述のコストバイアスなどの情報処理バイアスの改善に焦点が置かれている。参加者は,スピーチ場面での不安・自己評価や,主訴となる状況での不安について ,一定の改善が認められている。なお,すべての参加者に事前に十分なインフォームドコンセントを行い,同意が得られた場合にのみ実施をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに,(1)SADに関する情報処理バイアスの基礎的検討,(2)SADに関する認知行動療法プログラムの実施・効果検討,を行ってきた。これまでに,(1)・(2)ともにデータ収集を進めるとともに,一定の成果が認められてきた。平成26年度に継続して認知行動療法プログラムを中心とした研究実施を進めることで,研究目的について成果があげられると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、SADの情報処理バイアスについての基礎的検討を継続して進めるとともに、個人認知行動療法プログラムの実施を進める。さらに、プログラムの効果検討を行い、本研究で実施したプログラムの効果について、他のプログラム研究で示された効果サイズと比較検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当研究課題について、平成26年度に継続して実施することでより研究参加者を確保することができ、研究目的の遂行が可能となることから、補助事業期間を延長することとなったため。 研究に関する成果報告や課題に関連する学会出張費、研究参加者に対する謝金、書籍費、プログラム実施に必要な物品費などについて支出する計画である。
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