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2013 年度 実施状況報告書

社交不安障害の治療形態の特異性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23730677
研究機関武蔵野大学

研究代表者

城月 健太郎  武蔵野大学, 人間科学部, 講師 (50582714)

キーワード社交不安障害 / 情報処理 / バイアス / 認知行動療法
研究概要

当該年度においては,社交不安障害(SAD)における,コストバイアスや注意バイアスといった情報処理バイアスについての基礎的検討を,昨年度から継続して進めた。さらに,SAD患者に対する個人認知行動療法プログラムの実施を行った。
基礎的検討については,SADにおけるコストバイアスの機能や注意バイアスの働きについての検討を進めた。コストバイアスについては,不安のコントロール感とあわせてSAD症状に影響するモデル検討を行った。その結果,コストバイアスがSAD症状の維持に関与し,不安のコントロール感が緩衝要因である可能性が示唆された。また,注意バイアスの働きについても検討を進めたところ,SAD患者においては,先行する脅威刺激の影響により,注意バイアスにより反応時間の変容が認められた。これらの結果から,SAD特有の情報処理バイアスが症状の維持に関与することが認められ,介入を行うことの有用性が示唆された。
さらに,SAD患者に対して,個人認知行動療法プログラムを実施した。現在,10名程度のSAD患者に対してプログラムを進めている。プログラムは,心理教育・エクスポージャー・ビデオフィードバック・認知的再体制化などの内容により構成されている。プログラムでは,先述のコストバイアスなどの情報処理バイアスの改善に焦点が置かれている。参加者は,スピーチ場面での不安・自己評価や,主訴となる状況での不安について
,一定の改善が認められている。なお,すべての参加者に事前に十分なインフォームドコンセントを行い,同意が得られた場合にのみ実施をしている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに,(1)SADに関する情報処理バイアスの基礎的検討,(2)SADに関する認知行動療法プログラムの実施・効果検討,を行ってきた。これまでに,(1)・(2)ともにデータ収集を進めるとともに,一定の成果が認められてきた。平成26年度に継続して認知行動療法プログラムを中心とした研究実施を進めることで,研究目的について成果があげられると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は、SADの情報処理バイアスについての基礎的検討を継続して進めるとともに、個人認知行動療法プログラムの実施を進める。さらに、プログラムの効果検討を行い、本研究で実施したプログラムの効果について、他のプログラム研究で示された効果サイズと比較検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

当研究課題について、平成26年度に継続して実施することでより研究参加者を確保することができ、研究目的の遂行が可能となることから、補助事業期間を延長することとなったため。
研究に関する成果報告や課題に関連する学会出張費、研究参加者に対する謝金、書籍費、プログラム実施に必要な物品費などについて支出する計画である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] The preliminary study of individual cognitive behavior therapy for Japanese patients with social anxiety disorder.2014

    • 著者名/発表者名
      Shirotsuki, K., Kodama, Y., & Nomura, S.
    • 雑誌名

      Psychological Services

      巻: 11 ページ: 162-170

    • DOI

      10.1037/a0034781

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ビデオ映像に対するネガティブな解釈およびポジティブな解釈と社交不安の関係2013

    • 著者名/発表者名
      城月健太郎
    • 雑誌名

      武蔵野大学心理臨床センター紀要

      巻: 13 ページ: 1-9

  • [雑誌論文] 話場面の不安を主訴とする社交不安障害患者に対する集団認知行動療法の一事例2013

    • 著者名/発表者名
      城月健太郎
    • 雑誌名

      東海心理臨床研究

      巻: 8 ページ: 3-8

  • [雑誌論文] 不安のコントロール感に関する基礎的検討―社交不安障害の観点から―2013

    • 著者名/発表者名
      城月健太郎・児玉芳夫・野村忍・足立總一郎
    • 雑誌名

      心身医学

      巻: 53 ページ: 408-415

    • 査読あり
  • [学会発表] 効果的な認知変容とそのプロセス

    • 著者名/発表者名
      城月健太郎・山本隆一郎・伊藤大輔・中尾睦宏
    • 学会等名
      第13回日本認知療法学会
    • 発表場所
      帝京平成大学
  • [学会発表] Self-Image in Social Anxiety: Its Function and Intervention.

    • 著者名/発表者名
      Chen, J., Kwon, J., Yoshinaga, N & Shirotsuki, K.
    • 学会等名
      The 4th Asian Cognitive Behavior Therapy Conference
    • 発表場所
      Teikyo Heisei University
  • [学会発表] 社交不安における不安のコントロール感の機能

    • 著者名/発表者名
      城月健太郎
    • 学会等名
      第77回日本心理学会大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター

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公開日: 2015-05-28  

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