研究課題/領域番号 |
23730680
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研究機関 | 大阪人間科学大学 |
研究代表者 |
佐田久 真貴 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (10441479)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | PDD女児 / グループ支援 / 応用行動分析 / ケースフォーミュレーション / ストラテジーマップ |
研究概要 |
本研究では、広汎性発達障害(PDD)女児・女子を限定とした応用行動分析(ABA)的グループプログラムの立案と実践事例を積み上げていくこと、ストラテジー(戦略)とタクティクス(戦術)の関係性を明確にしていくことを目的とする。ここでは、既存のプログラムを当てはめるのではなく、個々の事例に即した機能分析に基づくケース・フォーミュレーションが大切であり、参加者と保護者・専門家が協働して、女性としての知識・スキルを獲得する機会になるよう提供する。 22年度までに実施したグループ活動のプログラムの有効性を検証するためと、フォローアップとして、対象者とその保護者へ電信版(メール、手紙、ファックス)による支援を継続した。アンケート調査によると、グループと個別対応(ABAによる支援)の満足度はいずれも高く維持されていた。また、対象者の行動範囲の拡大と進路についての積極的行動が確認された。同じ悩みや問題意識のある仲間との出会いが主たる目的として機能する「グループ活動(エクササイズ)」と、個々の問題に対するABA的考え方と対処法の獲得として機能する「学びの時間」は、参加者と保護者にとって効果的であったといえる。 一方、新規グループ募集や地域との連携に関しては、24年度に申請者の所属先の変更決定に伴い、中断した。そのため、24年度の異動後、速やかにグループ募集と地域への周知等を開始できるよう研究計画を変更し、準備をすすめた。 また、これまでの研究成果に関して雑誌への投稿を行うことができた(査読中)。PDD児・者への行動分析的介入のうち、女児・女子に限定したものはほとんどない。しかしながら彼女たちへの支援は多くの保護者からの訴えや、臨床現場の相談内容から、必須であることが示唆されている。そのためのプログラムの立案や実践事例を積み重ね、本研究の指向性の社会的意義は大きく、さらに検証をすすめていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度の所属先では、臨床実習を行うための倫理委員会で審査を受け、23年の9月に承認されたが、24年4月に、申請者の異動が決定したため新規グループの募集・実践は中断することとした。これに伴い、24年4月、申請者が異動後、速やかに研究開始ができるよう、準備をすすめた。 一方、22年度までにグループ参加、23年度は通信版(ファックス・メール・手紙)により継続支援していた参加者と保護者へのアンケート調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、個別介入と新規グループの募集・実施を開始し、実践事例を積み重ねていく。既存のプログラムに対象者をあてはめるのではなく、個々の状況に応じたプログラムの立案が必要で、ストラテジーとタクティクスの関係を明確にしていく。 また、臨床心理士を目指す大学院生をグループスタッフあるいは、ピアカウンセラーとして協力を求める。そのための研修や指導が必要と想定している。 対象者については、本研究のグループに参加する条件には、本人が自らの障害について知っている(告知を受けている)ことが前提であった。しかし、本人への告知は未実施であっても、保護者からの参加希望や問い合わせ、幼少期にある相談もあり、次年度は対応について検討していく必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
施設利用や設備に関しての費用は必要ない。新規グループの募集・実践に必要な物品費用と、学会発表のための費用、個々の事例に関しての専門医によるスーパーヴァイズの謝礼を、研究費から使用する予定である。
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