本研究は広汎性発達障害(以下、PDD)女児・女子を限定とした応用行動分析的グループプログラムの立案と実践事例を積み上げ、ストラテジー(strategy;戦略)とタクティクス(tactics;戦術)の関係性を明確にしていくことを目的とした。ここでは、既存のプログラムを当てはめるのではなく、個々の事例に応じた機能分析に基づくケース・フォーミュレーションが大切であり、参加者と保護者・専門家が協働して、女性としての知識・スキルを獲得できる機会を提供した。 本年度は、新規にグループを構成したため2グループを実施することができた。年齢でグループ分けをしているが、1つのグループでは自身の障害や特性の説明を受けた子と未診断の子の混合グループとなった。女児・女子限定のグループへのニーズはあるが、グループ編成の課題が残った。しかしながら、自身の障害や特性をグループの仲間と共に話し合い、語り合い、工夫の仕方を考える機会になったことは、彼女たちの自己理解・他者理解の促進につながったことが窺える。グループ参加後のアンケート評価の高さからもその有用性が明らかである。 本グループプログラムは、「勉強会」「エクササイズ」「茶話会」「ふりかえり(アンケート」の4部で構成された。自身の障害や特性について学ぶ「勉強会」、女性としての知識習得や活動を行う「エクササイズ」、いわゆる‘ガールズ・トーク’を体感する「茶話会」では、同性の大学院生がスタッフとして参加し、対象児のモデルとして機能するよう設定した。特に高校生など年齢が高い子になると、その効果が認められた。 また、これまでの実践報告を国内外で発表することができた。
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