研究課題/領域番号 |
23730683
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
角田 美華 (樋町 美華) 東海学園大学, 人文学部, 助教 (20550974)
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キーワード | 成人型アトピー性皮膚炎 / 痒みに対する不安 / 心理的支援 |
研究概要 |
平成25年度は,前年度までに構築された成人型アトピー性皮膚炎患者の痒みに対する不安軽減のためのプログラムを実施し,その効果について検討することを目的としていた。 具体的内容としては,対象者は教育入院に参加する者とし,教育入院中に①心理教育,②対処法の獲得:ディストラクション,③対処法の獲得:リラクセーションといった3回のプログラムを実施している。各プログラムの際に,プログラムの理解度や今後の実施可能の有無といった指標に回答を求め,プログラムが痒みに対する不安を単純に軽減させるかどうかに加え,対象者の利用のしやすさなども合わせて検討を行っている。介入群とコントロール群を交互に実施しているため,現在までに合計7名のプログラムを終了している。それぞれからは,プログラムに対して比較的高い評価を得ている。 これまでは,アトピー性皮膚炎患者への心理的プログラムが適用されることはあまりなく,皮膚科的治療のみが重視されてきたといえる。しかし,本研究を実施するに当たり,皮膚科的治療に加え,心理的側面からの支援も必要であり,また患者からは求められていることも明らかになりつつあるといえる。そういった点で,本研究の意義は十分にあり,また重要性も高いといえる。 本研究においては,平成26年度も引き続きプログラムを実施し,対象者数を増加させえる必要性はあるといえるが,現時点においても成人型アトピー性皮膚炎患者に必要な治療・支援を再度検討する示唆を与えたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在,本研究は,成人型アトピー性皮膚炎患者が抱える痒みに対する不安プログラムの構築を終え,その効果検討を実施している最中である。現状では,コントロール群含め合計で7名の成人型アトピー性皮膚炎患者を対象にプログラムを終えている。本研究の目標では,最終的にコントロール群を含め30名程度を対象とすることを予定していることから,現状では対象者数がやや少ないようにも考えられるが,教育入院患者を対象としているため,各教育入院(毎月実施)ごとにプログラムを提供できるよう準備されていることから問題ないと判断される。平成26年度は本研究の最終年度でもあるが引き続きプログラムの提供を行い,対象者数を増やし,プログラムの効果を明らかにし,また本プログラムの問題点も洗い出すことを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は本研究の最終年度ではあるが,平成25年度に引き続きプログラムの効果検討を行うため,教育入院患者を対象にプログラムの提供を行うことを予定しており,現在も進行中である。最終的には,本年度中に15~20名ほどを対象とすることを予定している。現在のところ,実施上の問題もなくプログラムが実施できていることから,今後も同様の形式で進めていけると予測される。 ただし,本プログラムへの参加は強制ではなく,入院前のあらかじめの説明において同意が得られた者を対象としている。このことから,教育入院は行うが本プログラムへの参加は拒否をされ,対象者が予定しているように参加されないこともあることが予測される。その場合,当該患者へ再度参加協力を求めるための説明は行うものの,強制的に参加を求めることはできず,また強制的な参加の場合にはプログラムへのモチベーションが他の患者と異なることが考えられるため,不参加を認めることとする。 現状では考えにくいことではあるが,対象者のプログラム参加拒否が続き,対象者数が当初の予定よりもかなり少ないなどといったことが本年度の中盤以降に認められた場合には,再度皮膚科医との話し合いが必要になる。このことから,この点についてはあらかじめ話し合いの時間を設け,対応策を検討する予定である。 また,昨年度まではプログラム参加者数が非常に少なかったため,データの処理を行うことがむずかしかったが,本年度はそれが可能となることから,本研究の成果発表を国内外問わず行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は当初平成25年度までの実施計画であったが,申請者の移動,そしてそれに伴いプログラム参加協力者の人数が予定していた人数に達しなかった。そのため,1年間の期間延長を申し出たところ,その延長が認められた。そのことにより,平成26年度も引き続き,成人型アトピー性皮膚炎患者の痒みに対する不安軽減プログラムの効果検討を実施していくこととなったことが1つ目の理由としてあげられる。2つ目の理由として,平成25年度はプログラムの実施に焦点があてられていたことから,論文作成,学会での発表の実施が困難であったことから,成果発表に費やされる部分がほとんどなっかった。ことこも,次年度に使用額が生じた理由と考えられる。 しかし,平成26年度は本研究の最終年度にあたることから,プログラムの遂行および成果発表に重点が置かれることが考えられるため,次年度使用額は必要であるといえる。 平成26年度に主となる使用目的としては,プログラム参加協力者への謝礼と成果発表のための学会参加費があげられる。 まずは,平成25年度から引き続きプログラムを実施し,対象者数を増やしプログラムの効果を検討することが第一の目的となるが,その目的を達成するためには,参加者への謝礼が必須となる。このことから,主としては謝礼として,使用される。また,対象者の数が増えることでプログラムの効果検討ための統計解析を実施することかが可能となり,本プログラムの意義を学会等で公表することが可能となる。その際,学会参加費などとして科研費が使用され,謝礼と共に重要となる。 平成26年度までに,物品等必要なものは購入済みであることから,最終年度必要となると考えられるのは上記の2点であるといえる。
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