最終年度である平成26年度は,それまでに開発してきた成人型アトピー性皮膚炎患者が抱える痒みに対する不安への心理プログラムの効果について継続的に検討することを目的としていた。 具体的には,総合病院皮膚科に教育入院を目的とした成人型のアトピー性皮膚炎患者を対象として,教育入院中に①心理教育(アトピー性皮膚炎とは,アトピー性皮膚炎患者抱える不安や痒みに対する不安など),②対象法の獲得:ディストラクション,③対象法の獲得:リラクセーションといった3回のプログラムを実施してきた。各プログラムの際に,内容の理解度や今後の実施可能性といった指標を含め,プログラムの痒みに対する不安への効果について検討を行ってきた。平成26年度は介入群6名,コントロール群5名を対象に研究を進めた。介入群であった対象者からは,プログラムの内容について比較的高い評価を得ることができた。 そもそもわが国においてアトピー性皮膚炎患者を対象とした心理的プログラムの効果検討は数少ないが,本研究は成人型アトピー性皮膚炎患者の痒みや掻破行動を介して健康関連QOLを低下させる要因となっている痒みに対する不安を軽減させるためのプログラムの開発およびその効果検討を目的としていたことから,他に例はなく重要性は高いといえる。 ただし,本研究は始められたばかりと言え,エビデンスとしてはまだまだ不足している状態にあるといえる。そのため,今後も継続的にプログラムを実施し,その効果について検討を実施する必要があるといえる。 また,本研究成果については,ようやくデータをまとめることができる段階に入ったため,今後精力的に国内外問わず学会発表,学会誌への投稿を行っていく。本研究成果が社会的に広められることにより,心理的プログラムを必要としている患者の存在を示すことができると考えられる。
|