研究課題/領域番号 |
23730684
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
舛田 亮太 久留米大学, 医学部, 助教 (30547055)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 解離 / 日常的解離 / 病的解離 / 多次元アセスメント / 心理援助法 |
研究概要 |
本研究の目的は、「解離の多次元アセスメントと心理援助法の開発」である。筆者が開発した「多次元解離質問紙(仮)」を利用し、これまでより広範囲な対象者(青年~成人)、様々な病的解離(解離性健忘、解離性遁走、解離性同一性障害etc)と心理援助法(力動的、認知療法etc)へ調査を広げ、効果的な心理査定・援助法を開発する。平成23年度は申請内訳の図書費、消耗品費を用いて、(1)解離性障害患者の治療効果を文献検証、(2)多次元解離質問紙の基準関連妥当性検証に必要な患者データを収集した。第1に、国内外の解離性障害患者の心理援助に関する文献を収集したところ、学派に特化した心理援助法(精神分析的心理療法、認知行動療法etc)が多く集められた。援助する地域・機関によってはそれらの技法が適用できない場合も多く、その場合に可能となる援助法、もしくは既存の援助法の応用可能性を検討することが重要であることが示された。第2に、多次元解離質問紙の基準関連妥当性の検証については、村上(2006)が提唱する「一定の項目群を基準群と統制群に実施し、回答パタンが二つの群で異なる、弁別力の優れた項目を統計的に抽出して尺度化する手続き」に従った。解離は広範囲な精神科疾患に伴う心理機制であるため、統制群としては解離性障害患者群のみに限定せず、幅広い精神科疾患患者を対象とした。精神科外来・病棟を対象に、データを収集したところ、H24.3.31現在、10代~60代までの計119人のデータが収集されている。患者群の大量データはこれまでの国内の研究では非常に少なく、非常に貴重なデータが収集されたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1の研究目的である解離の心理援助法については、文献収集だけにとどまらず、国内の学会にて研究代表者による解離を有する事例への実践例を提示し、汎用性の高い援助法を考案することの重要性が示された。第2の研究目的である、解離の査定面においては国際学会にて代表者作成による既存の解離尺度の問題点を整理した。国内の学会においては基準群(大学生健常群)の統計解析に基づき、「多次元解離質問紙(仮)」の妥当な因子数・因子内容について議論された。また統制群(精神科患者群)も計119名のデータに達した。以上から、現在までの達成度は順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
解離の心理援助については、研究代表者の実践例についてより細かな事例検討を行い、汎用性の高い援助法を探ることを試みたい。解離の査定面については、基準群(大学生健常群)の統計解析を更に進める。更に統制群(精神科患者群)についてはデータ全体に認知症、てんかんなどの器質性の障害も含まれるため、より分析可能なデータを得るため、次年度以降も統制群のデータ追加を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費については、平成23年度に引き続き、基準群、統制群の数量データの入力・統計解析に関する謝金、解離の様々な援助法を把握するための文献収集費、国内外での学会発表費として利用することを計画している。
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