研究課題/領域番号 |
23730684
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
舛田 亮太 久留米大学, 医学部, 助教 (30547055)
|
キーワード | 解離 / 日常的解離 / 病的解離 / 多次元アセスメント / 心理援助法 |
研究概要 |
本研究の目的は、「解離の多次元アセスメントと心理援助法の開発」である。筆者が開発した「多次元解離質問紙(仮)」を利用し、これまでより広範囲な対象者(青年~成人)、様々な病的解離(解離性健忘、解離性遁走、解離性同一性障害etc)と心理援助法(力動的、認知療法etc)へ調査を広げ、効果的な心理査定・援助法を開発する。平成24年度は平成23年度に引き続き、精神科外来・病棟を対象にデータを収集を継続したところ、平成25.3.31現在、10代~60代までの計150人のデータが収集された。これらのデータについて申請内訳の人件費を用い、入力作業を行った。器質性の障害を有する患者を除外した結果、121名(男性36,女性85,平均33.67歳、SD13.69)となった。更に、121名の患者をDSM-IV-TRによる診断分類に従って群分けした結果、不安障害群48名(男性9名、女性39名、平均25.52歳)、気分障害群53名(男性20名、女性33名、平均38.91歳)、精神病群20名(男性7名、女性13名、平均28.90歳)となった。更に、各群において統計解析を行ったところ、①解離性体験尺度は精神病群、不安障害群が気分障害群より有意に高い、②改訂日常的解離尺度合計については不安障害群が気分障害群より高い、③改訂日常的解離尺度5因子に関しては、非現実感、うわの空が気分障害群より不安障害群が高い、という結果が得られた。今後の課題として、各群の診断分類・人数の統制が残された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的である解離の査定・援助研究については、これまでの解離に関する量的、質的、事例研究に関して文献レビューを行い、学会企画にによる共著書の中で記載した。また、解離への心理査定、心理援助については、国内学会において解離を有する事例発表、シンポジウムの企画・発表を行った。また統制群(精神科患者群)も計150名のデータに達した。以上から、現在までの達成度は順調に進展していると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
解離の心理査定については、心理尺度を用いて対照群(青年健常群)、統制群(精神科患者群)の統計解析を更に進める。またロールシャッハテストによる解離の質的分析も進める。更に今年度の課題として挙げられた群の統制に関しては、各障害群で分析する際に多数のデータが必要である。従って次年度は最終年度にあたるが、統制群のデータ追加を継続して行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費については平成23、24年度に引き続き、基準群、統制群の数量データの入力に関する謝金、統計解析に関する物品購入費、解離の様々な援助法を把握するための文献収集費、国内外での学会発表を行う際の旅費として支出することを計画している。
|