研究課題/領域番号 |
23730685
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研究機関 | 東海学院大学 |
研究代表者 |
松田 侑子 東海学院大学, 人間関係学部, 講師 (10598717)
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キーワード | 強み / 心理教育的援助 / 就職活動 / キャリア発達 / 自己分析 |
研究概要 |
本研究は,就職活動を促進する,個人の肯定的資源を活用した介入プログラムを開発し,効果を検証することを目的としている。平成24年度に実施された主な研究の内容は以下の3つであった。 まず,平成23年度に行った面接調査から,自己分析を通じて,強みに対する認知・考え方が重要な要因の一つであることが浮き彫りとなった。しかし,これを測定する尺度はこれまでの研究で見当たらなかったため,新たに「強み観尺度」を作成した(研究4)。その結果,「恩恵をもたらす特徴」「突出した特徴」「主観的な良さ」「ありのままの性質」の4因子20項目から構成され,一定の信頼性を兼ね備えていることが明らかとなった。 次に,強みを発見・形成できるようになることを目指す上で,これを測定できるような尺度は先行研究の中で作成されていない。本研究においては,強みを発見・形成することに関する自己効力という観点から尺度の構成を試みた(研究5)。その結果,「活用・形成の方法の理解」「エピソードの想起」「日常的な活用」「他者への表現」「自らの強みの理解」の5因子28項目から成る「強みに関する自己子効力尺度」が作成された。十分なα係数と妥当性を兼ね備えていることも確認された。 3つ目として,強みを発見・形成するためのプログラムを構成し,実践を試みた(研究6)。対象学生は,先にプログラムに参加する群(実験群21名),実験群の介入終了後に同一の介入が施されるウェイティングリスト群(WL群23名)に割り付けられた。介入前(Time1)と実験群の介入終了時(Time2)を比較した結果, WL群よりも実験群において,強みの効用や活用の可能性に対する認知が高まることが示された。しかし,キャリア成熟に関しては,介入による効果は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の時点で課題として残された,強み観尺度の作成と強みに関する自己効力尺度の作成を踏まえ,介入プログラムを構成・実践した。今後は介入プログラムで残された改善点に関して整理し,平成25年度において再度検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策として,まず,平成24年度に実施した介入プログラムを通じて残された課題について,更なる検討を行うことが挙げられる。例えば,個別的な事例を取り上げるなどの形で,改訂された介入プログラムの効果を検証することも視野に入れていく。 また,平成23―24年度において示された研究成果を整理し,論文執筆に当たる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度においては,これまでの研究成果をアウトプットするために,国内外の学会発表を精力的に行うことである。特に,European Congress of Psychologyへの参加・発表を通して,キャリアやポジティブ心理学における最新の研究知見の見聞を広めることに努める。また,介入プログラムの修正によっては,更に調査協力者を募集し,実践を行う必要があるため,これに伴う心理教材の印刷・製本,郵送処理等に経費を使用する予定である。
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