平成25年度に実施された主な研究の内容は,平成24年度に実施した介入に修正を加え,東海地方にあるA大学で行われているキャリア支援セミナーの時間を活用し,プログラムの実施・効果の検討を行うことであった。調査対象者は学年別のキャリア支援セミナーに参加していた2年生計128名(平均年齢19.69 ± .82歳,男性27名,女性101名)と1年生計39名(平均年齢18.54±.56歳,男性17名,女性22名)である。構成された内容は,(1)強みとは何か,(2)自分の強みはどこか,(3)日常生活で強みを意識化する,の3点を中心とした。セミナー内で1年生では90分×4回,2年生では90分×5回の時間を使い,ファシリテーターがパワーポイントによる説明を行い,ディスカッションの時間等を設けた。初回と最終回の事前事後で,強み観,強みに関する自己効力,自尊感情,キャリア成熟の関心性の比較を行ったところ,強み観,強みに関する自己効力において変化が生じた。 研究期間全体を通じて,就職活動に貢献する個人の肯定的資源を活用した介入プログラムを開発・効果の検証を目的とし,(1)強みの発見が困難である要因について整理,(2)強みの活用を規定する要因の検討,(3)キャリア支援で活用できる,強みに焦点化したプログラムの実施,を主に試みた。本研究の重要性は,強みに関する尺度作成を行い今後の研究発展に貢献した点,従来キャリア支援において重視され,就職活動に影響する「自己理解」を強みの側面から体系的に促進する方法を考案した点に見出すことができる。
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