研究課題/領域番号 |
23730686
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
和智 妙子 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 研究員 (30415442)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 国民の意見 / 刑事司法 / 取調べ |
研究概要 |
2009年より裁判員制度が開始し、国民の司法への参加が推進されることとなった。それに伴い、国民が刑事捜査や裁判に対してどのような態度や認識を持っているかを理解することは、法執行機関にとって重要なことである。欧米では犯罪や警察活動、裁判、保護観察などの司法過程に関して、国民がどのような態度や意見を抱いているかについて盛んに研究が行われてきた。しかし、日本ではそのような研究はあまり行われてこなかった。そこで本研究では、以下の2点に関して研究することを目的としている;1)国民が取調べに関してどのような意見を持ち、どのような取調べ手法であれば裁判で証拠として認められうるのか、2)国民の刑罰の判断にはどのような要因が影響しているのか、という点である。 研究初年度である本年度は、国民の取調べに関する意見の研究に関して、詳細な実験計画を立て、実験で利用する調査票を作成し、94名の大学生(そのうち20歳以上の大学生は75名)に予備調査を実施した。調査票では、まず参加者に、一般的な取調べ手法を示し、その取調べ手法が適正であると思うか、有罪の被疑者を自白に導くのに有効であると思うか、無罪の被疑者を虚偽自白に導いやすいと思うかを尋ねた。次に、ある架空の殺人事件に関する事件情報と、異なる3つの取調べスタイルを提示した。これらに対し、取調べ手法が適正と思うか、有罪の被疑者を自供に導くのに効果的であると思うか、裁判で証拠として認められるか等を尋ねた。これらの分析結果に基づき、一般人対象のインターネット調査の調査票の原案を作成した。また、国民の刑罰の判断に影響を与える要因の研究に関しては、分析に利用可能な2次データを入手し、データの整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国民の取調べに関する意見の研究に関して予備調査を行い、その分析結果を論文として投稿することに時間を割いたため、一般人対象のインターネット調査を実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
国民の取調べに関する意見の研究に関して、800名程度の一般人を対象にインターネット調査を実施・分析を行う。国民の刑罰の判断に関する研究について、2次データの分析を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、取調べに関するインターネット調査の実施が遅れ、海外での学会発表もできなかったため、研究費を翌年度に繰り越すことになった。翌年度は刑罰の意見に関する2次データの分析、取調べに関するインターネット調査を実施・分析する。さらに、これらの結果を海外の学会で発表する。
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